e空き家の放置に新対策
- 2014.04.17
- 情勢/社会
公明新聞:2014年4月17日(木)付
自公、特措法案を提出へ
公明党の総務部会(桝屋敬悟部会長=衆院議員)と国土交通部会(伊藤渉部会長=同)は16日、衆院第1議員会館で合同会議を開き、党の基本的な考え方を盛り込んだ「空家等対策の推進に関する特別措置法案」を了承した。同法案は、放置されたままの空き家が全国で増える中、持ち主に撤去や修繕などを促すのが目的。今後、さらなる党内手続きを経た上で、同趣旨の法案提出を準備する自民党とも最終調整し、今国会に提出する。
自治体に「撤去」促す権限
空き家は全国に約760万戸あるとされるが、所有者が分からないケースも多く、市町村による対策推進の障害になっている。このため同法案では、市町村が固定資産税情報を基に所有者を調ベたり、敷地内への立ち入り調査を認めることにした。とりわけ、そのまま放置すれば倒壊などの恐れがある住宅については「特定空き家」に指定し、所有者に対し撤去や修繕を命令できる権限を与えた。それでもなお命令に従わない場合は、市町村による強制撤去も可能にしている。
一方、国に対しては空き家対策の基本方針の策定を求め、市町村はこれに基づいて対策計画を策定できる。これは、国が基本方針を示すことで、市町村に対策を促す狙いがある。
費用補助などの支援盛り込む
空き家増加の背景としては、撤去に伴う費用が高額なことや、家屋を解体して更地にすると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる点も指摘されている。こうした問題に対応するため、同法案では、国や都道府県による市町村の空き家対策への費用補助や地方交付税制度の拡充、税制上の措置を講じることにした。
情報収集し、利活用も推進
これまで空き家対策については、対応に迫られた多くの自治体で独自に条例を設ける動きが広がっていたが、関係者からは「自治体の対応だけでは限界がある」との声も上がっていた。
こうした実態を踏まえて公明党は昨年10月、「空き家対策プロジェクトチーム」(PT、伊藤座長)を設置。以来、関係者との意見交換を重ねる一方で、空き家の実態とともに自治体の取り組みを調査してきた。
同法案には、空き家の利活用を推進するためのデータベース整備などについても盛り込まれている。
空き家は人口減少や高齢化などにより今後も増える見通しだが、管理が不十分な空き家は、老朽化による倒壊をはじめ、ごみの不法投棄や放火などを招きかねず、地域の生活環境に深刻な影響を及ぼす。公明党は、自治体の取り組みを後押しする空き家対策特別措置法案の制定に全力を挙げる方針だ。