e会社法改正案 企業統治の強化が必要
- 2014.04.18
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月18日(金)付
社外取締役の設置を促進せよ
企業経営を監督するコーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化をめざす会社法改正案が国会で審議されている。ここ数年相次いだ大企業の不祥事は、日本の会社に対する内外の投資家の信用を大きく失墜させた。
企業のトップが会社の資金を私的に流用することは"なれ合い"であり、大手銀行の関連企業が暴力団関係者に融資をするといったことはコンプライアンス(法令・社会規範の順守)の欠如である。
株主の利益や企業の社会的使命を考えた場合、このようなことはとても許されることではない。
それでは再発防止に何が必要か―会社法改正案は株式を公開する大会社(公開大会社)に社外取締役の設置促進を求めている。「外部の目」で業務執行を監督し、経営の透明化とコンプライアンスを確保することは欧米では基本である。
社外取締役設置の義務化こそ見送ったものの、会社法改正案が設置促進のための仕組みを整えた意義は大きい。早期成立が望まれる。
会社法改正案は、社外取締役の自主的設置を促すため、(1)過半数の社外取締役が必要な「監査等委員会設置会社」を創設し、その社外取締役に監査だけでなく代表取締役の選定などにも主導的に関与させる(2)社外取締役を置かない場合、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を株主総会において口頭で説明させる―との規定を設けた。
(1)は現行の「委員会設置会社」「監査役会設置会社」に続く新しい会社の類型であり、多くの企業がこの新しい会社の仕組みを採用し、社外取締役の設置を進めるよう求めたい。
東証第1部上場企業の98%は、社外監査役は必要だが社外取締役の設置は任意の「監査役会設置会社」の制度を採用している。この会社の下で、さらに社外取締役を設置することは"二重の負担感"となる。
しかし、新しい「監査等委員会設置会社」の下ではそうした負担感はなくなる。
(2)の口頭説明は、社外取締役をあえて置かない企業に対し難しい対応を迫ることになる。社外取締役が企業統治に重要であるとの認識は株主の間にも広がっているため、「置くことが相当でない」と納得してもらう説明はかなり難しい。そのため、早くも社外取締役の設置に動く大企業が出始めているとも報道されている。
これらの設置促進策が機能することを期待したい。