e復興推進委の提言 東北再生を日本のモデルに
- 2014.04.21
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月21日(月)付
地域資源の活用や新産業の創出で
東日本大震災からの復興施策を提言する政府の有識者会議「復興推進委員会」が18日、東北の将来像に関する最終報告をまとめた。
震災から4年目に入り、被災地では公共インフラなどの復旧・復興が進む一方、被災者の生活再建や地域再生などは道半ばにある。人口減少や高齢化、産業の空洞化などの課題は他の地域よりも顕著化している。
被災地の再生を、どのように実現するのか。難しいかじ取りが求められる。
復興推進委員会は、被災地を単に復旧させるだけではなく、日本の各地が抱える課題を解決するモデルとして「新しい東北」を創造するための検討を続けてきた。
最終報告は、復興の加速化に加え、「高い発信力を持った地域資源を活用する社会」など五つの将来像を提唱した。エネルギー分野での先進的な取り組みへの支援強化や、復興を担う人材育成の必要性などを明記している。
最終報告を受けて政府は、関係省庁の局長級による作業チームを立ち上げ、提言の具体化をめざす。
「新しい東北」の創造は被災地のみならず、日本全体の再生の希望につながる。一日も早い実現に向け政府は全力を挙げてもらいたい。
例えば、具体策の一つに、ものづくり産業や農林水産業など地域基幹産業の強化が挙げられている。地域の外からの需要を積極的に獲得する取り組みであり、推進していきたい。
被災地の暮らしを支え、コミュニティーを維持するための産業振興も大事な視点となる。
特に、最終報告は、東京電力福島第1原発事故の影響に苦しむ福島県の浜通り地域の再生に向け、廃炉関連技術を基にした新産業創出の重要性を提示した。赤羽一嘉経済産業副大臣(公明党)の私的懇談会「福島・国際研究産業都市構想研究会」が検討中の内容であり、地元の要請に応えた対策である。
持続可能な地域経済の実現には、企業やNPOなど民間のノウハウや活力を生かすことが欠かせない。
昨年12月には、政府の呼び掛けで、経済界や行政機関、NPOのトップらが設立発起人となり、官民連携推進協議会が発足した。復興支援事業に関する情報共有や意見交換を行っている。
最終報告は、同協議会の活動の充実などを求めているが、こうした「官」と「民」の強みを生かす取り組みを強力に後押ししていきたい。