e地方版成長戦略 地域ブランドで活性化を
- 2014.04.22
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月22日(火)付
「産学官」の連携強化が不可欠
各地で進めていた地方版成長戦略がまとまった。経済成長の恩恵を、地方や中小企業にまで広く波及させることが狙いだ。
昨年6月に策定した政府の成長戦略「日本再興戦略」では、地域に根差した生の声を競争力強化に反映させるため、地域ブロックごとに地方産業競争力協議会の設置を求めている。昨年11月から各協議会で議論が始まり、戦略策定に向けて検討してきた。
協議会は、全国を北海道、東北、関東、中部、四国など9ブロックに分け、設置された。メンバーは各ブロック内の都道府県知事や市長などに加えて、各地を代表する経営者や有識者で構成している。
四国地方は、これまで各県が単独で乗り越えられなかった壁を方面一体となって解決をめざす戦略を立案した。例えば、四国を丸ごと東アジアに売り込む市場開拓や四国全体での観光資源づくりなど、11の連携プロジェクトを定めた。
北海道では、食と観光の関連産業を成長分野として位置付けている。"北海道ブランド"を構築し、成長産業に育成させることで、地域産業への波及効果を狙う。
中国地方では、製造業が盛んな地域特性を踏まえ、電気自動車や水素エンジン自動車といった先進的な環境対応車の開発促進、航空機関の関連産業育成に力を入れ、地域の活性化を進めていく。
このほかにも、各ブロックはユニークな戦略を考案している。限られた地域ブランドを有効活用し、地域経済を発展させることは、国全体の競争力強化にもつながる。
問題は、今後の実行段階での取り組みである。
それぞれの戦略を効果的に推進していくためには、各地域の産業界、学術機関、行政の三者による相互連携の強化が欠かせない。金融機関も、地域産業を育てる視点で、融資や経営相談などに柔軟な姿勢で応じてもらいたい。
各戦略は今後、半年に1回程度フォローアップ(追跡調査)を行い、必要に応じて改定していく予定である。戦略が絵に描いた餅とならないように、関係機関の取り組みを期待したい。
戦略を着実に進めていくためには、国の支援が必要になる局面が出てくるかもしれない。各協議会では国に対して、戦略を実行するための制度改正や予算措置、減税策などを要望している。
政府は、地方発の政策を後押しし、地方と一体となった景気の好循環実現を進めてほしい。