e改正復興特区法が成立
- 2014.04.24
- 情勢/社会
公明新聞:2014年4月24日(木)付
衆院復興特委理事 高木美智代さんに聞く
東日本大震災の被災地で復興加速の課題となっていた用地取得について、土地収用【別掲】の手続きの期間を短縮し、高台移転などの迅速化をめざす「改正東日本大震災復興特区法」が23日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。法改正の背景やポイントについて、衆院東日本大震災復興特別委員会で理事を務める公明党の高木美智代さんに話を聞いた。
―法改正の背景は。
高木美智代理事 被災地で進める高台移転では、移転先の土地所有者が不明であったり、相続登記の未了や多数の相続人との交渉が困難な事例が多く、用地取得が難航していました。そこで政府は昨年10月、土地収用制度の迅速化などを盛り込んだ「用地取得加速化プログラム」を策定しました。その結果、被災3県の高台移転での用地取得率は、今年2月末現在で75.2%と、大幅に改善されつつあります。今回の法改正は、現場の声も踏まえて用地取得の円滑化を法律で裏付けるなど、復興事業を加速させるための対応です。
―法案審議では、与党と野党4党による法案がそれぞれ提出されていました。
高木 復興事業の迅速化は与野党に共通する最重要課題です。与野党の実務者協議では、一日も早い法案成立を期すためにも、与党案をベースに議論をして最終的に一本化することで合意し、衆院震災復興特委の委員長提案の議員立法で再提出しました。
―改正のポイントは。
高木 第一に、事業の公益性を判断するための事業認定申請から認定告示までの期間を、現行の3カ月から2カ月に短縮します。また、土地収用の裁決申請をする際に必要だった損失補償額の見積もりや土地調書などの資料を不要とし、いち早く裁決申請できるようにします。
さらに、権利者の同意なしに事業の着工を可能にする「緊急使用」については、使用期間を現行の6カ月から1年に拡大して、自治体が制度を活用しやすくなるよう改めました。加えて、土地収用法に基づき収用を裁決する収用委員会に対し、収用裁決を早期に終わらせる努力義務を課しました。
このほか、高台移転を進める中で小規模な移転も可能とするため、土地収用の対象を現行の50戸以上の集合住宅から5戸以上に拡大しています。
用地取得 手続きを短縮
住宅再建 さらに前進
―法改正後に重要なことは。
高木 被災地の住宅再建を加速させるためにも、今回の法改正に実効性を持たせる必要があります。太田昭宏国土交通相(公明党)が22日の衆院本会議で、用地取得加速化へ土地収用の柔軟な運用を周知する方針を示したように、今後は、国が現場の被災自治体に対し、現実に用地取得が進むよう働き掛けることが重要です。
震災から3年以上がたち、住宅再建は待ったなしです。公明党は常に被災地に寄り添い、復興事業の加速化で一日も早く被災者が安心して生活できるよう、支援を継続していきます。
【土地収用】
公共の利益となる事業のために、正当な補償の下、権利者の意思にかかわらず財産権を取得すること。所有者が不明の土地の取得にも活用できる。