e閣議議事録の初公開 行政の透明性高める一歩

  • 2014.04.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年4月25日(金)付



閣僚会議録の指針作りも早急に



1885年の内閣制度発足以来、初めてとなる閣議の議事録公開が22日から始まった。閣議は政府の最高意思決定機関であり、国民への情報公開や説明責任を果たすための取り組みを歓迎したい。

閣議議事録の公開は、行政機関の透明性を高める視点から、公明党の山口那津男代表らが政府に強く要請し、実現した経緯がある。

大きな転機となったのは、3年前の東日本大震災だ。震災発災後に起きた東京電力福島第1原発事故に対する政府の対応を検証する際、事故当時の閣議議事録が存在しなかったため、国の重要な意思決定過程の適否を適切に判断しにくいとの批判が関係者から出ていた。

そうした教訓を踏まえて実現した今回の対応は、行政の適切な情報公開を求める国民の期待に応える大きな一歩である。

ただ、一部報道から、公開内容について「形式的なやりとり」(23日付「毎日」)との指摘もある。議事録作成の在り方を工夫すべきではないだろうか。

公文書管理法の規定によれば、政府の重要な内部文書は、作成後、最長で30年間非公開で保存された後、国立公文書館などで公開すると定めている。今回、閣議議事録を3週間で公開するとしたことは、情報開示までの期間を大幅に短縮するものだ。

議事録が初公開された当日、公文書管理を担当する稲田朋美行政改革担当相は、閣議以外も閣僚が出席する重要な会議は、議事録作成を義務付ける方針を表明した。この方針を評価したい。そのためのガイドライン作りを早急に進めてもらいたい。

内閣府によると、閣僚会議やそれに準じる全172会議のうち、現在、議事録が作成されていない会議は28、発言者名などの記載内容が十分でない会議は30に上るという。

閣議よりも詳細な議論が行われる172会議の議事録を残すことは、後の政策決定過程を検証する作業の際に役立つものだ。

議事録の中には、安全保障分野の機密性が高い事項などもあるため、公開は、それぞれの会議を担当する閣僚の判断に委ねられる見通しだ。国益にかかわる重要事項を安易に公開するのが現実的でないのは理解できるが、積極的に議事録を公開していく姿勢を保ってもらいたい。

情報公開は、民主的な政府の運営に欠かせないものだ。今後も、政府は「国民の知る権利」に応える適切な対応を進めてほしい。

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