e日米首脳会談 アジアの安定築く同盟に
- 2014.04.28
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月26日(土)付
TPP協議は共存共栄の視点で
「米国の繁栄と安全は、アジア太平洋地域の未来と切り離せない」。3回目の訪日を果たしたオバマ米大統領は、安倍首相との会談後の記者会見でこう強調した。
オバマ氏の掲げる「リバランス(再均衡)政策」は、アジア地域の経済発展と、中国などの台頭によるパワーバランスの変化に対応するものだ。会談で、両国の強固な同盟関係の確認と深化を図り、アジア太平洋政策について日米関係を基軸に進める姿勢をあらためて表明した意義は大きい。
尖閣諸島をめぐり、オバマ氏は米国大統領として初めて、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象を「尖閣諸島も含め、日本の施政下にある全ての領土」と明言。離日直前に発表された共同声明も、中国による東シナ海上空への防空識別圏設定について「緊張を高める行動に強い懸念を共有する」と批判した。
対立と不信の増幅は、不測の事態を招きかねない。米国の狙いは、日中両国に国際秩序に基づいた対話による平和的解決を促すことにある。日中両国は、冷え切っている関係の修復に向け、あらゆる努力を惜しむべきではない。
力による一方的な現状変更の試みや、北朝鮮の核・ミサイル開発に日米で連携して対処することを確認できたのも、東アジアの平和と安定の構築に貢献する。
集団的自衛権の行使容認に向けた日本政府の取り組みについて、共同声明は「米国は歓迎し、支持する」と明記した。しかし、マスコミからは「米国の無条件支持を得たと考えるのは早い」(25日付毎日「社説」)との指摘が出ている。拙速な議論を避け、あらゆる角度からの検討を深めるべきだ。日本側が求めた普天間基地(沖縄県宜野湾市)の5年以内の運用停止などについて、共同声明が、沖縄の基地負担軽減に向けた「両国の取り組みを再確認する」とした点も評価できる。
オバマ氏が「日本が環太平洋連携協定(TPP)に関わることは、今世紀のアジア太平洋岸諸国における重要なリーダーシップの役割を果たすチャンス」と呼び掛け、安倍首相も「国家百年の計」と応じたTPP交渉は、決着に至らなかった。両首脳の意気込みに沿う結果が出なかったのは残念だが、共同声明でTPP交渉の包括合意に必要な「大胆な措置を取る」と記した。両国の発展や未来を方向付ける問題だけに、共存共栄の視点を見失わないでほしい。
両国の国益に資する協議の進展に期待したい。