e動き出す「脆弱性評価」

  • 2014.05.02
  • 情勢/社会
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公明新聞:2014年5月2日(金)付



国土の弱点洗い出し
公明提言を具体化
数値で防災・減災を推進
西田実仁参院議員に聞く



大規模な自然災害に備えるため、政府はこのほど、防災・減災対策の現状や課題を洗い出す「脆弱性評価」の結果を公表しました。これに基づき、政府は今月下旬をめどに「国土強靱化基本計画」をまとめます。公明党が提唱する「防災・減災ニューディール」がどのように反映されているのか、一連の取り組みの起点となる「防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(防災・減災基本法)の法案取りまとめに携わるなど党の防災・減災対策をリードしてきた公明党の西田実仁参院議員に聞きました。

―今回の脆弱性評価をどう見ますか。

西田実仁参院議員 脆弱性評価は、いわば"国土の健康診断"です。従来の単なる防災対策とは異なり、災害に対してどこが強く、どこが弱いのかを洗い出しているのが特徴です。

中でも、不特定多数の人が集まる施設の倒壊や火災など「最悪の事態」を設定した上で、その事態を回避するため、行政機能や情報通信など分野ごとの現状やインフラ(社会資本)の整備状況を数値化したことに意義があります。例えば、住宅の耐震化率と橋梁の耐震補強完了率はいずれも79%ということが明らかになりました。このような"脆弱性"を数字上で進捗状況を管理しながら、必要な対策を重点的に実施していくことを明確にした点を評価しています。

―公明党が掲げる「防災・減災ニューディール政策」との関係は。

西田 公明党は一昨年の衆院選、昨年の参院選の重点政策で、東日本大震災のような大規模災害から国民の命を守る「防災・減災ニューディール」を掲げてきました。防災・減災対策に充てる予算に限りがある中、防災教育や防災訓練などのソフト対策の充実とともに、公共施設の総点検を通して優先順位を付けてインフラの長寿命化を進めるよう主張しています。脆弱性評価で「最悪の事態」を想定しながら国土強靱化に関する施策をチェックし、不十分な点を特定するだけでなく、必要な施策を効率的・効果的に進められるようになったことが成果と言えます。

ただし、これで終わりではありません。脆弱性評価自体を深化させるとともに、施策の優先順位付けを今後、災害の起こりやすさや影響などを踏まえ、深掘りして検討します。

―公明党が主張してきた公共施設の総点検も進んでいます。

西田 特に、道路の老朽化対策で顕著です。全国にある橋梁約70万橋のうち約50万橋は市町村が管理しています。しかし、各地で関連予算が削減されたり、土木技術者が不足していたり、維持・管理などで最低限の基準が確立されていないために、対策が進んでいないのが実態です。

そこで、昨年の通常国会で道路法を改正し、その中に道路の「点検基準の法定化」を盛り込みました。今年7月から、国が定める統一的な基準で5年に一度、近接目視による監視を全道路を対象に実施することになります。公明党が提唱する「防災・減災ニューディール」が具体化した代表例の一つです。

―脆弱性評価の結果を受け、今後の取り組みについては。

西田 政府は、脆弱性評価の結果に基づき、国の防災・減災対策の指針となる「国土強靱化基本計画」をまとめ、今月下旬をめどに閣議決定します。この基本計画に沿って地方自治体が「国土強靱化地域計画」を策定する予定です。

国土強靱化は壮大な構想で、まだ始まったばかりですが、国と地方が一体となって国民の命を守る防災・減災対策を推進できるよう、公明党としても全力で後押ししていきます。

「脆弱性評価」で明らかになった施策の目標達成度(事例)
●建築物の耐震化率                           80%
●市街地などの幹線道路の無電柱化率  15%
●津波被害が予想される地域の水門開閉の
自動化率                                           33%
●J―ALERT(全国瞬時警報システム)
の整備率                                           93%
●石油製品の備蓄目標達成率               95%

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