e国民理解へ議論丁寧に
- 2014.05.07
- 情勢/解説
公明新聞:2014年5月4日(日)付
集団的自衛権 従来の政府解釈尊重
公明党の北側一雄副代表(憲法調査会長)は、3日午前に放映されたNHKの討論番組「憲法記念日特集 9条と集団的自衛権」と日本テレビ系の報道番組「ウェークアップ!ぷらす」に出演し、大要、次のような見解を述べた。
9条堅持し、自衛隊や国際貢献の「加憲」検討も
テレビ番組で北側副代表
【憲法9条】
一、9条は、わが国が侵略されない限りは武力行使しないという規定だ。9条の下で、自衛隊は国際貢献活動や内外の災害の救援活動などで活躍し、国民の理解が非常に深まっている。そういう意味で、9条の精神は大切にしていかなければならない。
一、(「加憲」の対象として)9条の1、2項は残したままで、自衛隊の存在を明記し、国際貢献も含めて自衛隊の役割を書くことは議論してもいいのではないか。国民投票法改正案が8党共同で今国会に提出され、ようやく憲法改正の現実的、具体的な議論ができる環境が作られた。そういう中で、9条の問題も最初からタブーにせず、しっかり議論することはいいと思う。
【集団的自衛権】
一、歴代内閣が少なくとも四十数年間、集団的自衛権の行使は憲法上認められないという解釈を続けてきた。これは重いものがあり、尊重しなければならない。仮に解釈を見直すならば、従来の政府解釈との論理的な整合性や法的な安定性、自衛権(武力)の行使が適法かどうかの基準となる規範性が、きちんと説明できないといけないだろう。
一、安全保障環境が大きく変化している中で大事なことは、安全保障上、どういう必要性があるかを具体的、現実的に議論していくことだ。そういう意味では、集団的自衛権の是非という言葉が独り歩きしているように思える。具体的な必要性にどう対処すべきか、自衛隊にどういう役割を担ってもらうか、という議論を丁寧にしていかないと、国民の理解は得られないのではないか。
一、具体的な事例を想定すれば、集団的自衛権という言葉を出さなくても、個別的自衛権や警察権の行使で対処できる場合が相当ある。例えば、尖閣諸島周辺の話だ。現在、日常的には海上保安庁が警察機関として、警戒活動をしており、中国側からも警察組織が出てきている。不測の事態が起こらないような警察組織間のホットラインをつくることに努力するのが政治の役割だ。また、仮に侵略があったとしても、尖閣はわが国の領土であり、個別的自衛権で対処する話だ。
【今後の協議】
一、具体的な与党協議は、首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書が近いうちに出されるだろうから、そこから始まる。報告書が出た時点で、政府としてどう取り扱い、どう協議していくかということが示されるし、首相からも一定の見解が出されるだろう。そういう中で、当然、国会の議論が始まってくると思う。議論は決して結論ありきではないし、スケジュールありきではない。