eOECD加盟50周年 世界経済のけん引役果たせ

  • 2014.05.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年5月9日(金)付



「多様性の確保」を成長の因に



日本が経済協力開発機構(OECD)に加盟して、今年で50周年を迎えた。

1964年に21番目の加盟国として名実ともに先進国の仲間入りを果たした日本は、国際社会から信任を得て経済の自由化を一層進めたことから、奇跡的と称された経済成長を遂げることができた。この経験を世界の持続的な成長に生かすとともに、けん引役としての責務をあらためて自覚したい。

現在、先進国を中心とした加盟34カ国が、政治と軍事を除く幅広い分野について話し合うことで、事実上の国際経済の政策協調、ルール作りの場となっている。また、1200人超の専門家を抱える「世界最大のシンクタンク」としての機能も活発だ。新興国の台頭で経済バランスが変化している中でも、その影響力はいまだ大きい。

今月6日からパリで開かれたOECD加盟閣僚理事会で、「東南アジア地域プログラム」が立ち上がった。公正な競争ルールへの参加を加盟国以外にも広げ、その恩恵を共有していくことは非常に重要だ。日本には、OECDと成長著しい東南アジアとの橋渡し役としての期待が高いだけに、より積極的な取り組みで関係強化を望みたい。

閣僚理事会では、世界経済の成長を持続するために、女性や若者、高齢者の雇用促進のほか、能力開発を通じて格差拡大を防ぐ必要性について議論された。いずれも日本が直面する課題ばかりだ。

世界最速で高齢社会に突入した日本にとって、今後の経済成長を支える人材の確保は喫緊の課題だ。女性の社会参加は先進国でも最低レベルで、非正規就業者の増加に伴い、貧困率も上昇してきている。これまでのような、男性優先の社会構造は既に行き詰まっており、長期的な成長に対応できないことは明らかだ。

グローバル市場では、女性顧客の動向が企業の浮沈を左右する時代に入った。経済社会における女性の参画が進んでいる国ほど競争力や所得が上昇する傾向にある。また、能力開発を非正規労働者に広げることで、高まる貧困率の低下が期待できる。多様な人材の活用とその能力を引き出すことは経済成長につながる。その実行力が今、世界から問われていると言えよう。

閣僚理事会の議長国として基調演説に立った安倍首相は、「ピンチこそチャンス」と述べ、日本が挑む構造改革が世界経済の将来のモデルとなる決意を披歴した。

国民の理解を得ながら、改革に取り組んでほしい。

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