eホワイト企業 女性の活躍が競争力の源泉
- 2014.05.15
- 情勢/解説
公明新聞:2014年5月15日(木)付
多様な働き方選べる環境に学べ
夫が転勤になっても、一緒に暮らせるように勤務地を配慮する。若い女性でも仕事の主導権を握ることができる。
女性の能力を発揮しやすい職場をつくる「ホワイト企業」が全国に出てきた。経済産業省は、「ダイバーシティ(多様性)経営企業100選」の中で表彰している。同省監修の書籍「ホワイト企業」によると、安心して子どもが産め、育児と両立しながらキャリアアップしている実感が持てる会社と定義されている。
取り組みの先進性、実践度、経営トップのリーダーシップなどが評価対象になる。同省に選定された企業では、女性社員が伸び伸びと働き、ヒット商品を生み出している。
例えば、大手ビール会社では、妊娠中や授乳中の女性でも飲めるノンアルコールビールを開発・販売、業績向上に貢献している。企画段階から女性が関与して生まれた商品だ。この会社は、数年前から管理職や新卒採用者の女性比率アップに取り組み、ビール業界初の女性支社長の誕生をはじめ、男性が占めていた役職への登用が進んでいる。
熊本県内のある住宅・不動産会社は、女性が主戦力として活躍、ここ10年で5倍の売り上げ増を達成した。業界全体の女性の就労率は2割に届かないが、この会社は半数を超す。男女や入社年次を問わず、成果を挙げた社員に高報酬を与え、社員の成果や意欲に応えている。
日本の会社は、高度経済成長期以来、新卒一括採用した男性社員を中心に構成される企業が多い。似たようなタイプの社員ばかりでは、斬新な発想やアイデアが生まれにくい。顧客ニーズを先取りして新市場を開拓するには、多彩な人材による多角的な経営戦略がないと壁にぶつかる。
夫婦が買い物をする場合、日本は7割前後、米国では8割程度の妻が購買決定権を持っているという調査結果がある。売れ行きを伸ばすには、女性の好みや視点をどれだけ取り入れられるか。市場で勝負するための重要な要素だ。
ホワイト企業に選ばれる利点は少なくない。企業イメージがアップするので、社会からの評価や信頼感が高まり、商品やサービスの売り上げにもプラスに働く。入社希望者が増えるので、逸材を確保しやすくなる。社員に会社への誇りが芽生え、就労意欲が増すのではないだろうか。
日本社会は、少子高齢化の影響で働き手が減っていく。多様な人材が活躍できる職場環境の整備は、企業の発展を左右しかねない。ホワイト企業の広がりを期待したい。