e女性の就労機会拡大 社会や企業発展の鍵握る

  • 2014.05.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年5月26日(月)付



在宅勤務や職場復帰の後押しを



安倍晋三首相は先週、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる「放課後児童クラブ」の定員数を、2015年度から5年間で約30万人拡充する方針を打ち出した。

放課後児童クラブの待機児童解消は、女性の仕事と子育ての両立支援策として重要だが、進めるべき対策はこれ以外にもある。

厚生労働省が12年度に実施した調査では、男性の育児休業(育休)取得率は1.89%と極めて低い。男性の取得率がアップすれば、女性の子育ての負担軽減につながる。4月から育休給付金が増額されて制度は前進したが、男性の取得率を向上させる力強い政策も実施してほしい。

女性の社会進出を応援する観点から、男性社員の育休取得率100%を達成した企業もある。政府は、育休制度や短時間勤務制度の活用を積極的に推進する企業に対して、助成や税制優遇策を大幅に拡充するべきだ。

子育てを理由に離職する女性が後を絶たない。子育て中でも希望すれば働けるよう、情報通信技術を活用した在宅テレワークなどの推進も必要である。在宅テレワークを導入した企業に対する支援策や、テレワークに関する労働規制の見直しを検討できないだろうか。

また、一定期間職場を離れていた女性は、スムーズに復帰できるか不安だ。子育てを終えた女性の再就職も後押ししなければならない。教育訓練給付金を活用した学び直し支援や、インターンシップ(就業体験)制度の充実にも取り組んでもらいたい。

日本社会は、急速な少子高齢化の進展で労働力人口の減少に直面している。企業にとって、女性は一段と貴重な戦力となる。

女性は消費行動の主役を担うことが多い。女性ならではの発想で新製品・サービスを生み出し、業績向上につなげている企業も増えている。

例えば、大手印刷会社では、イチゴを包む青果フィルムに、つまみをつけて開けやすくした商品を開発し、5年間で3000万円の売り上げを達成した。企画段階から女性が関与して生まれたものだ。

経済産業省によると、社員の育児・介護支援や柔軟な勤務システムを整備する企業は取り組みが遅れている企業に比べ、生産性が2倍以上高いという。出産などによる離職者の再雇用制度を持つ企業も、それ以外の企業と比べて利益率が高い傾向にある。

官民が連携して、女性が能力を存分に発揮できる環境整備を急ぐべきである。

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