e過労死を防ぐ社会に
- 2014.05.29
- 情勢/社会
公明新聞:2014年5月29日(木)付
衆院通過した対策推進法案
公明、早期法制化を推進
「国の責務」を明記
精神障がいによる労災請求は10年で3倍
働き過ぎによって命を落とすことを防ぐため、実態調査の実施や効果的な対策を求めた「過労死等防止対策推進法案」が、27日の衆院本会議で全会一致で可決され、参院に送付された。同法案は、過労死対策を国の責務と位置付け、労働環境改善など具体的な防止策を充実させることが狙い。
仕事による過労で脳や心臓などの病気になり、2012年度に労働災害補償を請求した人は842人(うち死亡による請求は285人)に上った。また、ストレスやうつ病など精神障がいによる労災請求は1257人(うち自殺、自殺未遂による請求は169人)に上る【グラフ】。
特に精神障がいなどによる労災請求は、この10年で約3倍に増加。12年度に精神障がいで労災認定された475人の発症原因は、「仕事の内容や量の変化」(59人)が最も多く、「嫌がらせ、いじめ、暴行」(55人)「上司とのトラブル」(35人)などの対人関係を発症原因とするものも増えている。ほかにも「セクハラを受けた」(24人)ケースも増えている。
現在、国が把握している過労死、過労自殺は"氷山の一角"との指摘もあり、若者の使い捨てが疑われる、いわゆるブラック企業などを含めた実態調査を行い、実効性のある対策を講じることが急がれている。
このため、同法案には、過労死について国民に広く関心を持ってもらうため、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、自治体や事業者の協力も得て、啓発に力を入れる方針を盛り込んだ。このほか、過労死の恐れのある人や家族への相談体制の整備、民間団体の活動への支援などが盛り込まれており、行政と民間が一体となって対策に取り組む。
公明党は、過労死や過労自殺について、「労災認定する事後的な救済も大事だが、防止対策も重要」との観点から、早期法制化を進めていた。今月15日に、公明党の山口那津男代表と懇談した、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、「ようやく実効性のある法律案ができて、本当に公明党に感謝している。過労死、過労自殺の救済も大事だが、防止はもっと大事。法律が成立すれば、遺族が希望を持って前向きに生きることができる」と語っている。