e人口急減 英知集め回避を

  • 2014.05.30
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年5月30日(金)付



将来まで国民の安心守る
党対策本部初会合



増田元総務相が講演

公明党の人口減少問題対策本部(総合本部長=石井啓一政務調査会長、本部長=桝屋敬悟衆院議員)は29日、衆院第2議員会館で初会合を開き、東京大学公共政策大学院の増田寬也客員教授(元総務相)が「人口減少社会の設計図」をテーマに講演した。

増田氏が座長を務める民間有識者らによる「日本創成会議」は今月8日、独自の推計として2040年時点の全国の市区町村別人口を発表。全体の約5割を占める896自治体で10年から40年までの間に、20~39歳の若年女性が半減するとの試算を示した上で、これらの自治体は「将来消滅する可能性がある」と分析し、各方面から重大な関心が寄せられている。

対策本部顧問の井上義久幹事長は、同会議の推計について、「自治体がなくなるということは、行政サービスが受けられなくなるということであり、住民にとっては極めて深刻な問題だ」と指摘。将来も国民が安心して行政サービスを受けられる仕組みを構築することが、政治の最重要テーマだとの考えを示した。

また推計では、若年女性の減少と、東京への人口の一極集中が止まらないことが、人口減少を加速させる要因として挙げられていることに言及。「この二つの問題にどう対応するかが、非常に重要な政治課題だ」として、対策本部で本格的な検討を行うと述べた。

講演で増田氏は、今後、日本で人口減少は避けられないとした上で、「危惧するのは人口急減社会だ。英知を集め、避けなければならない」と強調。人口減少の要因の一つが、地方から大都市圏(特に東京圏)への若者の流入にあるとし、「東京の経済だけを良くすると地方との格差が生まれ、東京の人口がさらに増える」と述べ、地方拠点都市での雇用創出や産業育成に力を入れるとともに、全国平均に比べ、極端に出生率が低い東京では、保育環境の整備などの対策に徹底して取り組むべきだと提案した。

また増田氏は、若者が結婚し、子どもを産み育てやすい環境づくりへ全ての政策を集中することが重要だと指摘。特に企業の理解と協力は重要な要素だと強調した。

意見交換で自治体消滅のイメージを問われた増田氏は、「若年女性が減ると小学校(1校当たり)の入学者が2、3人となり、教育から崩れる。次に地域活動が成り立たなくなる」との認識を示した。

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