e中間貯蔵住民説明会 地元の声最大限尊重を
- 2014.05.30
- 情勢/解説
公明新聞:2014年5月30日(金)付
あすからスタート 丁寧に、具体的に、分かりやすく
東京電力福島第1原発事故で出た汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設についての住民説明会が、建設候補地の福島県大熊、双葉両町の住民らを対象に、あす31日から始まる。
6月15日まで、県内外で16回開かれる予定で、事前登録は不要。質疑の機会もある。関係者は一人でも多く参加し、要望や疑問を率直にぶつけてほしいと思う。
答える側の環境省や復興庁の職員も、地元の声を最大限尊重し、丁寧で、具体的で、分かりやすい説明を心掛けてほしい。まして、国の方針を一方的に押し付けるようなことは断じてあってはならない。
中間貯蔵施設をめぐっては、昨年12月、国が大熊、双葉、楢葉の3町を候補地とする最初の案を提示。その後、地元から大熊、双葉の2町に集約する案が逆提示され、国は3月、これを了承して新たな計画案をまとめた。
国は説明会でこの案をあらためて示し、住民の了解を取り付けたい考えだが、地元は「説明会開催と建設受け入れは別」としている。用地取得方法など細部が不透明なほか、安全面の不安も拭い切れないためだ。
具体的には、大きく三つの問題が残っている。
一つは、住民の間に「施設固定化」への懸念が根強くあること。石原環境相は27日、大熊、双葉両町長との会談で、(1)中間貯蔵施設の管理は国の特殊会社「日本環境安全事業」(JESCO)が行い(2)廃棄物は30年以内に県外で最終処分する―ことを法律に明記することを明らかにした。だが、地元は「具体的な条文の内容を注視していく」(内堀副知事)として、慎重な姿勢を崩していない。
二つめの問題は、用地取得の方法だ。先祖伝来の土地を手放さなくても済むよう、国による用地借り上げを希望する住民は少なくないが、国は一括国有化の方針を変えていない。買い取り価格も「適正額を支払う」(石原環境相)としているだけで、具体的な金額は不明だ。
三つめの問題は、生活再建と地域振興策。環境省は「極めて自由度の高い交付金を両町に直接交付する」としているが、こちらも具体的な規模は定かでない。
福島再生の前提である除染を進めるため、中間貯蔵施設が必要なことは地元も理解している。それだけに、国は住民の要望を可能な限り聞き入れ、もっと柔軟に対応していく姿勢があっていいはずだ。
地元が納得できる、より説得性ある計画案作りへ、説明会を絶好の機会としたい。