e過労死防ぐ社会構築
- 2014.06.01
- 情勢/社会
公明新聞:2014年6月1日(日)付
防止法案に「国の責務」明記。
労働環境の改善へ具体策
働き過ぎによって命を落とすことを防ぐため、実態調査の実施や効果的な対策を求めた「過労死等防止対策推進法案」が、5月27日の衆院本会議で全会一致で可決され、参院に送付されました。
同法案は、過労死対策を国の責務と位置付け、労働環境改善など具体的な防止策を充実させることが狙いです。仕事による過労で脳や心臓などの病気になり、2012年度に労働災害補償を請求した人は842人(うち死亡による請求は285人)、ストレスやうつ病など精神障がいによる労災請求は1257人(うち自殺、自殺未遂による請求は169人)に上っています。
特に精神障がいなどによる労災請求は、この10年で約3倍に増加。対人関係を発症原因とするものが増えているのが特徴です。
現在、国が把握している過労死、過労自殺は"氷山の一角"との指摘もあり、若者の使い捨てが疑われる、いわゆるブラック企業などの実態調査や対策が急がれています。昨年5月には、人権問題を扱う国連の社会権規約委員会が日本に対して、過労死防止対策の強化を求める勧告を行っています。
公明党は、過労死や過労自殺について、「防止対策の充実が重要」との観点から、早期の法制化を進めてきました。5月15日に、公明党の山口那津男代表と懇談した、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、「ようやく実効性のある法律案ができて本当に公明党に感謝している。過労死、過労自殺の救済も大事だが、防止はもっと大事。法律が成立すれば、遺族が希望を持って前向きに生きることができる」と語っています。