e軽減税率の論点整理 事務負担、不正防止が課題
- 2014.06.06
- 情勢/経済
公明新聞:2014年6月6日(金)付
請求書保存、インボイス方式で4パターン提示
消費税の軽減税率導入をめぐっては、中小企業を中心とした事業者の事務負担増や不正防止への対応が課題だ。
現在は消費税率が一律のため、商品の納入業者は請求書に税込みの合計額を記せば、税額が正確に把握できるが、税率が複数になれば、合計額を記載しただけでは正確な税額が分からず、支払った消費税額を意図的に低く申告するなどの不正が起きかねない。
これを踏まえ、5日に自民、公明の与党税制協議会が示した軽減税率導入への論点整理では、事務負担や不正防止への効果に応じた4パターンの経理手法が示された。
このうち公明党が提案してきたのは、請求書に税率ごとの合計額を記載するA案だ。ほかの案に比べ事務負担が軽いのが特徴。これに加え、売り手に請求書の発行・保存を義務付け、不正のチェックをしやすくしたのがB案だ。
これに対し、C、D案は、品目ごとの適用税率と税額を細かく記すインボイス(送り状)方式を盛り込んだ。D案は欧州連合(EU)諸国で採用されている手法で、各国政府が発行する事業者番号の記載を義務付けた厳格な経理手法だが、それだけ事務負担は重い。
欧州では原則、消費税(付加価値税)を支払う必要がない免税事業者のインボイス発行が認められず、買い手は「仕入税額控除」(仕入時に支払った消費税額を売り上げ時に受け取った消費税額から差し引く措置)ができない。このため、免税事業者は取引から排除されやすい。