e ビッグデータ "宝の山"経済成長に生かせ

  • 2014.06.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年6月6日(金)付



プライバシー守る仕組みが大前提



「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な電子データを活用するルール作りの論議が大詰めを迎えている。今月中にも政府の検討会で法改正に向けた大綱がまとめられる予定だ。

ビッグデータには、通信販売の購入履歴や携帯電話の位置情報など、多種多様な情報が含まれる。情報通信技術の発達に伴い大量のデータを収集・分析できるようになり、ビジネスに役立てる企業が増えている。

インターネット上で消費者の購入履歴などを分析し、その消費者の好みに合う「お薦め商品」を広告として表示するサービスは、その典型例だ。走行する車からの情報を基に、渋滞を回避する案内サービスを提供している企業もある。

農業や医療、防災対策など活用が期待できる分野は幅広い。"宝の山"といわれるゆえんだ。政府も昨年6月に発表した成長戦略の一つに位置付けており、官民で連携して活用できる環境を整えたい。

ただし、ビッグデータは個人に関する情報を多く含む。それが、個人情報保護法で保護される「個人情報(氏名や住所など)」に当たるかどうかの判断は明確ではない。

昨年夏、JR東日本がICカード乗車券の乗車履歴データを利用客に無断で企業に販売したことが問題になった。データは利用客の氏名などを削除していたが、他のデータとの突き合わせによっては個人が特定される恐れがあった。

企業にとって、このような課題や懸念が活用に二の足を踏ませている。

検討会では、個人が特定できないようにデータを加工した場合は、本人の同意を得なくても利用できるように認める措置などを議論している。

消費者も企業も安心して利用するためには、プライバシー保護との両立が大前提だ。どうすればプライバシーを確実に守れるのか、徹底的に議論してほしい。

欧州などは独立した第三者機関を設置し、データの活用とプライバシーの保護を監視・監督している。

検討会では、第三者機関として、2016年1月から運用開始予定のマイナンバー制度を監視する「特定個人情報保護委員会」を、個人情報全般の利活用と保護を目的とする機関へと改組する方向で議論を進めている。実効性のあるチェック体制を構築すべきである。

データの流通は国内だけに限らない。欧州は個人情報の保護管理が日本よりも厳しい。国際的に通用する制度を確立してもらいたい。

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