e政府が後方支援で修正案

  • 2014.06.09
  • 情勢/国際

公明新聞:2014年6月7日(土)付



グレーゾーンの一部 現行法の運用改善で対応



自民、公明の与党両党は6日午後、衆院第2議員会館で「安全保障法制整備に関する協議会」の第4回会合を開いた。自民党から高村正彦副総裁、石破茂幹事長ら、公明党から北側一雄副代表、井上義久幹事長らが出席した。

席上、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」対処のうち、武装集団の不法上陸を想定した「離島等における不法行為への対処」と、「公海上で訓練などを実施中の自衛隊が遭遇した不法行為への対処」の各事例について、政府側は警察、海上保安庁、海上自衛隊の連携を強化し、自衛隊の海上警備行動 などの発令手続きの迅速化へ現行法制の運用改善で対処する考えを表明。自公両党は理解を示した。

また、「弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護」に関し政府は武器防護のための武器使用を定めた自衛隊法第95条 の考え方を参考として、わが国の防衛に役立つ活動に従事する米艦を防護できるよう新たな法制を検討するとの方針を示したが、公明党は持ち帰った。

一方、政府は国連安保理決議に基づく多国籍軍などへの自衛隊の後方支援のあり方について3日に示した新基準を取り下げた。「自衛隊の活動に歯止めがなくなりかねない」との公明党の指摘に応じた。その上で政府は、新たに(1)支援対象となる他国部隊が戦闘行為を行っている現場では活動しない(2)活動現場で戦闘行為が行われた場合、活動を休止(3)戦闘現場であっても、人道的な捜索・救出活動は例外―とする修正案を提示。自公両党は持ち帰って検討することにした。

一方、国連平和維持活動(PKO)における「駆け付け警護」を自衛隊に実施させることに関し、政府はPKO受け入れ国が行政権を行使できているかどうかの実態に着目して判断すると提案。日本がPKO受け入れ国の政府を承認していれば「駆け付け警護」も可能とする考えを転換した。

公明党は与党協議の終了後、衆院第2議員会館で、外交安全保障調査会(会長=上田勇衆院議員)と憲法調査会(会長=北側副代表)の合同会議を開催した。これには山口那津男代表をはじめ、多数の衆参国会議員が出席。北側副代表が与党協議について報告し、議論を交わした。



【海上警備行動】

海上における人命・財産の保護、または治安の維持のために「特別な必要がある場合」に、首相の承認を得た上で自衛隊が海上で実施する行動。自衛隊法第82条に規定されている。

「特別な必要がある場合」とは、海上保安庁(海保)による対応が困難な場合を指す。海保の巡視船では停船させられない武装工作船への対処などに発令される。海上の治安維持は警察組織の役割であるが、海上警備行動は自衛隊が警察組織の補充として実施する。



【自衛隊法第95条】

武器等の防護のための武器使用が定められている。これは有事(日本が武力攻撃を受けた事態)ではなく、平時に認められる武器使用である。

日本の防衛力を構成する武器・弾薬・船舶・航空機・車両などを破壊しようとする行為からそれらを守る受動的な措置として認められている。この武器使用ができるのは職務上、武器等の警護に当たる自衛官に限定され、正当防衛や緊急避難でなければ人に危害を与えてはならない。

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