eNPO法人 共助の担い手が地域変える

  • 2014.06.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年6月13日(金)付



財政基盤強化や人材確保へ支援を



NPO(民間非営利団体)の認証数が、早ければ今年度内にも5万件に達する勢いで増えている。コンビニエンスストアの総店舗数に迫るもので、一定の社会的な地位を占め、身近な存在になってきた。NPO法の成立を推進した公明党としては、感慨深いものがある。

NPOの活動は、保健、医療、社会教育、まちづくり、環境、災害救援、人権擁護、芸術、消費者保護など多岐にわたる。これらの多分野で、行政がカバーしきれない細かなサービスを提供している。

地域社会の課題の改善を政府や自治体に求めるのは当たり前だが、行政の守備範囲はおのずと限界がある。また、行政の職員は担当部署を数年単位で変わる傾向があるので、経験を積みにくい。専門性のあるNPO職員が、行政の手が回らない領域をサポートしてくれれば、地域社会にとっては心強い。

介護保険の要支援1と2の高齢者向けサービスの一部を市区町村に移行する考えも、その一つだ。地域包括ケアシステムの構築へ第一歩を踏み出すために、今国会で審議中の医療・介護総合確保推進法案に盛り込まれている。現在の画一的な介護予防給付を地域の実情に応じてNPOや町内会などを活用して多様なサービスを提供する。

NPOの能力を存分に発揮してもらう試みだが、一部の野党は「要支援切り」と的外れな批判を繰り返している。しかし、財源は介護保険制度から拠出され、希望すれば現在と同じように介護給付を受けられる。高齢者の不安をあおり、NPOの力量を過小評価した悪宣伝にすぎない。

行政や企業が扱わない課題や領域でも、活躍している。例えば、配偶者などからの暴力(DV)を受ける問題は、被害女性を守るNPOの活動がマスコミで取り上げられて表面化、やがて防止策が法律として制定されるまでになった経緯がある。

日本社会は、人口減少や少子高齢化、東日本大震災の復興など、多くの課題に直面している。官民が連携して対策を進めなければ、乗り越えるのは難しい。行政や企業、そして住民とのパイプ役を担うNPOが、行政や企業も思いつかない地域再生のヒントを与えてくれるかもしれない。

ただ、日本のNPOは、欧米に比べて歴史が浅い。このため、財政基盤は脆弱で常勤職員の確保も難航している。解散に追い込まれる法人も少なくない。共助の担い手であるNPOの支援策を政府や自治体は強化してもらいたい。

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