e景気回復の流れ確実に
- 2014.06.26
- 情勢/社会
公明新聞:2014年6月26日(木)付
成長戦略など政府決定
女性、若者活躍後押し
新法制定、放課後児童クラブの充実で
石井政調会長に聞く
政府は24日、昨年策定した成長戦略(日本再興戦略)の改定や、「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)、規制改革実施計画を決定しました。そのポイントや公明党の取り組みなどについて、公明党の石井啓一政務調査会長に聞きました。
―今回、成長戦略を改定した意義は。
石井啓一政務調査会長 自公政権が発足して1年半近くが経過しますが、この間、政権の経済政策が効果を発揮し、4月からの消費税率引き上げに伴う反動減を除けば、景気は着実に回復しています。
ただ、今後、景気を本格的な成長軌道に乗せていくには、1年前に策定した成長戦略をさらに進化させる必要があります。
また、前回の成長戦略では、女性の活躍の場や農業・農村の生産性拡大、医療・介護などの健康関連分野の成長市場化などの課題が残されていました。これらの"宿題"に対し、今回の改定で結論を出したという意味もあります。
―今回の改定に対し、公明党はどう取り組んできましたか。
石井 公明党は5月末に独自の成長戦略を政府に提言し、特に女性や若者が活躍できる社会を前面に出して、取り組みを強く求めました。これを踏まえ、改定では「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」をめざし、女性の活躍を促進するための新法制定が盛り込まれるとともに、放課後児童クラブを希望しても児童が利用できないケースの解消に向けた施策が充実しました。
さらに、フリーター、ニート対策といった若者の雇用支援策をはじめ、地域や中小企業、農業の活性化に向けた施策などにも公明党の主張を盛り込むことができました。
―法人税改革が注目されていますが。
石井 海外からの投資を促す観点から法人実効税率の引き下げは重要な課題ですが、わが国は多額の借金を背負っているわけですから、税率を引き下げるのであれば、安定した財源を確保しなければなりません。
今回の成長戦略などでは、来年度からの数年間で、35.64%(東京都の場合)の実効税率を20%台に引き下げる方針を示しました。同時に、恒久財源の確保も打ち出し、具体的な内容は、与党税制協議会が決めることになっています。
―労働時間規制の見直しも焦点です。
石井 労働時間ではなく成果を基に報酬を支払う新たな労働時間制度を創設することになりました。少ない時間で成果を挙げるための効率性や生産性の向上が狙いですが、「成果を挙げるため、長時間労働が常態化するのではないか」という懸念もあります。
これを受け、公明党は「導入しても、高度な専門職やクリエイティブ(創造的)な職業の人に限定すべきだ」と訴え、結果的に、少なくとも年収1000万円以上、職務の範囲が明確で高度な職業能力を持つ労働者に対象が限られました。
―いわゆる混合診療は、どう変わりますか。
石井 混合診療は、公的保険が使える診療と保険外の診療を併用できる制度で、今は限定的に認められています。保険外の医療が増えれば、「お金がないと適切な医療が受けられなくなる」という心配もあります。
今回、「保険外の先進医療を受けたい」という難病患者らの要望を踏まえ、患者の申し出によって、安全性や有効性が確認されれば、国内未承認薬などとの併用ができるようになりました。
―農協(農業協同組合)のあり方も見直します。
石井 農業が成長産業になっていくには、全国に約700ある地域農協が主体となって創意工夫を発揮しなくてはなりません。そのために、地域農協を指導する立場の全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協の自主性発揮を阻害しているのではないかという指摘を踏まえ、中央会を新たな制度に移行させることになりました。詳細を詰め、来年の通常国会に法案を提出する方針です。
―今後の党の動きは。
石井 成長戦略は歴代の政権が作ってきましたが、それが実行されなかったことが経済の長期低迷につながりました。成長戦略は作ることも重要ですが、実行することがより重要です。法律や予算編成、税制改正などを通し、施策を具体化することに全力を尽くす決意です。