e患者さんの希望に合った転院先探します
- 2014.06.30
- 情勢/テクノロジー
公明新聞:2014年6月28日(土)付
家族らの負担を軽く
地域、入院の費用、期間などで検索
7月から「転院支援情報システム」稼働
東京都は7月1日から、都内に約650ある病院の職員らが、迅速に患者の転院先を検索できる「転院支援情報システム」の運用をスタートさせる。同システムの構築を訴え続けてきた公明党の遠藤守都議は24日、都保健医療公社・荏原病院を訪ね、システムの概要を聞くとともに、今後の支援策などについて関係者と意見を交わした。都福祉保健局の新倉吉和地域医療担当課長は「多くの病院が参加する、こうしたシステムは全国的に都道府県レベルでも珍しい取り組み」と話す。
このシステムは、入院中の患者が症状などによって転院の必要がある場合に、転院業務を担う医療従事者が転院支援に必要な情報を素早く検索できるもの。
患者、家族らが転院先を検討するときには、幅広い選択肢を提供できる。
特に救急病院ではこれまで、急性期を脱した患者の転院先を探す際、医療ソーシャルワーカー(MSW)らが各病院に電話などで個別に問い合わせたり、担当医師が知り合いの医師らを頼りにすることが多く、病院の選択肢が限られた上、時間もかかっていた。
都の担当者は「患者や家族にとって肉体的、精神的な負担になっていた」と語る。
このシステムを利用すれば、病院のスタッフが患者らの希望や状況などをインターネット上で入力するだけで、スムーズに転院の手配ができるほか、患者の容体などに合わせた適切な転院を推進できる。
具体的には、都医療機関案内サービス「ひまわり」からログインし、「転院支援用病院情報検索」を選択。患者が希望する地域や入院病床の種別、入院費用、入院可能期間などの条件を入力して検索すると、登録された施設の中から条件を満たす病院が選ばれ、名称が地図上に表示される。その病院名をクリックすると、転院支援に関する詳細な情報が表示される仕組みだ。
都は来月から運用を始め、2015年度にはシステムの利用状況などを調査した上で、さらなる充実に向けた検証や改善を行う。
公明都議の提案が実る
同システムの構築に当たっては、遠藤都議が議会質問などを通じ一貫して推進。入院患者が3カ月を境目に、転院を余儀なくされている問題を取り上げ、「入院中の身内があまりに早く転院を迫られた」「病院で紹介された転院先は、高額、もしくは遠方なので大変悩んでいる」など、患者らの切実な声を紹介し、「転院先探しに苦慮する患者や家族の負担を軽減させるべきだ」と強調。都として転院を支援する仕組みをつくるよう提案していた。