e消費増税100日 景気の回復軌道変わらず

  • 2014.07.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年7月9日(水)付



人手不足や原油高に万全な対策を



今年4月に消費税の税率が8%に引き上げられてから100日が過ぎた。景気の落ち込みが心配されていたが、事前に予想していたほどではなさそうだ。

全国9ブロックの景気情勢をまとめた日銀の「地域経済報告」(7日発表)は、消費増税に伴う駆け込み消費の反動は落ち着き、国内需要は堅調で雇用・所得環境も改善されていると分析した。

内閣府が発表した6月の景気ウオッチャー(街角景気)も、日本経済の緩やかな回復基調を認めている。

昨年度に大型の補正予算を編成し、景気の腰折れ防止対策を進めてきた自公連立政権の政策が着実に浸透し、効果を発揮しているといえよう。

ただ、日本経済の先行きは必ずしも楽観視できない。

最大の課題は、人手不足だ。人材を獲得するための人件費の増加が、中小企業の経営をじわじわと圧迫している。せっかく生産依頼が来ても、人手が足りないために受注をあきらめざるを得ないケースもある。人手を確保できずに売り上げを伸ばす機会を逃せば、業績に響く。

求人難や人件費の上昇など、人手不足が原因の企業倒産件数は今年1月~6月で20件に達し、前年同期の6件を大きく上回った。今後は、東京オリンピック関連の建設工事の増加が見込まれるので、状況はさらに深刻さを増す。

建設業では、国土交通省と業界団体が連携して、女性の技術者を5年以内に現在の2倍にする目標を掲げている。女性技術者の配置を公共工事の入札条件とするモデル事業も始めた。中高年の男性労働力に依存する業界の体質を変えて、人材を幅広く獲得する試みである。

人手不足に悩む他の業界でも、労働意欲のある女性や高齢者が働きやすい雇用ルールや職場環境をつくり、必要な人材を確保してほしい。

一方、イラク情勢の悪化を背景にした原油価格の高騰も深刻だ。公明党の原油高騰問題対策本部には、「価格高騰を緩和する支援策が必要」(全国漁業協同組合連合会)、「燃料高騰分の価格転嫁対策を拡充してほしい」(全日本トラック協会)―など、切実な要望が寄せられている。

原油価格は、史上最高値を記録した2008年以来の高水準にあり、産油国の不安定な情勢が長期化すると、産業界にさらに切迫した事態をもたらす。

政府は、回復基調の景気が一刻も早く力強さを取り戻すように、万全な対策を進めてほしい。

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