e難病を総合的に支援
- 2014.07.14
- 情勢/社会
公明新聞:2014年7月12日(土)付
関連2法成立で抜本改革へ
公明がリード 助成、研究、社会参加など
党対策推進本部長江田康幸衆院議員に聞く
約40年ぶりの抜本改革となる難病対策。5月23日には「難病医療法」「改正児童福祉法」の関連2法が成立し、来年1月の施行に向けた取り組みがいよいよ本格化する。法制定の意義や今後の見通しについて、公明党難病対策推進本部の江田康幸本部長(衆院議員)に聞いた。
―法制定の意義は。
江田康幸本部長 従来の難病対策は、医療費の助成に法律の裏付けがなく、長期療養などへの支援も不十分でした。しかし難病は、確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性があります。だからこそ、難病で苦しむ患者を社会全体で支えることは、国民全体の安心や共生社会の実現のためにも必要です。
そこで、今回の法制定では、医療費の助成を法律に基づく義務的経費として、消費増税分を財源とする公平で安定的な制度を構築。難病研究や患者の社会参加支援を含む総合的な対策を進めることを定めました。
―新たな医療費助成制度のポイントは。
江田 一定の基準を満たす疾病であれば、全て公平に助成されるようになり、対象の難病は従来の56(患者数約78万人)から約300疾病(同150万人)、子どもの難病(小児慢性特定疾病)は514(同11万人)から約600疾病(同15万人)と、大幅に拡大する見込みです。
医療費の自己負担割合は現行の3割から2割へと引き下げられ、限度額は最も自己負担が軽い、障がい者の自立支援医療並みになりました【表参照】。また、一定基準以下の軽症者は助成の対象外となりますが、高額な医療によって軽症を保っている場合は助成を受けられます。子どもの患者は、大人の半額程度の自己負担となりました。
―研究や医療提供体制で進展が期待される点は。
江田 難病の新たな研究事業が法律に位置付けられ、患者数が少ないために滞っていた治療薬の実用化などが大きく進みます。
医療面では、各都道府県などに難病医療の拠点病院や地域基幹病院が整備されます。併せて、全国規模で正しい診断ができるように、各拠点病院や国立高度専門医療研究センターなどが連携した「難病医療支援ネットワーク」が形成されます。
―患者の社会参加に対する支援は。
江田 公明党の主張で、厚生労働相が定める基本方針に生活・就労支援が盛り込まれました。また、各都道府県の「難病相談支援センター事業」の体制を強化します。子どもの成長に合わせた自立支援事業も創設され、都道府県・市町村が相談支援や、地域の実情に応じた療養、教育、就労などの支援を実施します。
―施行までの課題は。
江田 まずは対象疾病の選定ですが、これは厚労省で間もなく、専門の委員会による検討が始まる予定です。その上で、患者認定や医療費助成の実施主体となる都道府県では、指定医や指定医療機関などの体制を整備する必要があります。
さらに都道府県や保健所設置市などでは、難病医療法で努力義務となっている「難病対策地域協議会」を設置し、患者や医療・福祉関係者らによる情報の共有や、連携の緊密化を進めることも重要です。
―公明党の役割は。
江田 公明党は、多くの患者の声を基にした提言を昨年12月に厚労相へ申し入れるなど、一貫して法制定をリードしてきました。
これからも国と地方のネットワークの力を生かして、各地域で難病患者への支援を着実に進めていきます