eマレーシア機の墜落 徹底した真相究明を急げ
- 2014.07.22
- 情勢/解説
公明新聞:2014年7月19日(土)付
撃墜行為なら看過できない蛮行
世界中に大きな衝撃が走った。
オランダ・アムステルダムを飛び立ってクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空の旅客機が17日、ウクライナ東部上空で墜落し、乗客と乗員約300人が死亡した。墜落機は、通常通り飛行する中、高度1万メートルの上空で爆発。ウクライナ軍と親ロシア派武装勢力による同地域での紛争に巻き込まれ、撃墜されたとみられている。
墜落原因について、ウクライナ当局は、親ロシア派武装勢力がロシアの情報機関の支援を受け、旧ソ連製の地対空ミサイルを用いて撃墜したと非難している。一方、親ロシア派武装勢力の指導者は、ウクライナ空軍の戦闘機が撃墜したと指摘、双方が関与を否定している。
旅客機が墜落した地域では、ウクライナの軍用機が何度か武装勢力によって撃墜されている。また、ウクライナの情報機関は、武装勢力の犯行を裏付ける通信傍受の記録を公表しており、武装勢力がウクライナの軍用機と誤ってマレーシア航空機を撃墜したとの見方も強まっている。
もし、撃墜行為が真実なら絶対に看過できない蛮行である。
事故を受け、国連の潘基文事務総長は、原因究明のため「徹底的かつ透明性が確保された国際調査」が必要だと訴えた。
日本政府も18日、首相官邸での国家安全保障会議(日本版NSC)の9大臣会合で、対応を協議。国際社会と連携して原因の究明や情報収集などに当たると表明している。米国やマレーシアなど、調査団を派遣する意向を示している各国と力を合わせ、真相の解明に貢献してもらいたい。
墜落現場を実効支配する親ロシア派武装勢力は、限定的に調査関係者を受け入れる考えを表明したようだが、真相を究明するには即時立ち入りを認め、調査期限も設けるべきではない。
真相究明を急ぐのと同時に、親欧米派と親ロシア派の対立によるウクライナ問題の解決にも全力で取り組む必要がある。
これまで米国とロシアの両首脳は相手国の批判に終始して、本格的な融和に向けた姿勢を取ってこなかった。今回もロシアのプーチン大統領は、墜落の責任は東部で軍事作戦を行うウクライナ政府にあると述べているが、非難の応酬を続けるのではなく、米ロ両国が主導して、この地域の紛争解決に向けた対話に、より真摯な姿勢で臨んでもらいたい。