e国を挙げて若者の自殺対策を

  • 2014.07.29
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年7月29日(火)付



全ての子どもに予防教育
谷合正明・超党派議連ワーキングチーム座長に聞く



2014年版の「自殺対策白書」によれば、12年の国内における自殺者数は15年ぶりに3万人を下回り、13年も減少し、2万7283人になったというものの、15~39歳の死因の第1位が自殺であるという。こうした中、超党派の国会議員でつくる議員連盟(議連)「自殺対策を推進する議員の会」のメンバーは6月17日、菅義偉官房長官に対し、「若者自殺対策の緊急要望」を手渡した。この要望を取りまとめた同議連の若者自殺対策ワーキングチーム(WT)の座長、公明党の谷合正明参院議員(党青年委員会顧問)に、要望のポイントなどを聞いた。
若年女性が相談しやすい環境を整備

―超党派の議連のWT座長として、緊急要望を取りまとめた経緯は。

谷合正明座長 もともとは、2006年に参院厚生労働委員会の理事が中心となり、超党派で「自殺防止対策を進める議員有志の会」として結成、活動していたものが、13年10月に衆院の議員が加わり、超党派の議連として発足したのがきっかけです。わが党では、同有志の会発足から関わってきた議員が引退したため、その心を受け継ぎ、私が超党派議連の副会長として参加することになりました。

その後、WTが14年3月に立ち上がり、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクの清水康之代表とともに、民間団体など10団体からヒアリングを行い、緊急要望にまとめました。

―今回の緊急要望のポイントは何ですか?

谷合 今回の緊急要望の柱は三つです。(1)全ての子どもへの自殺予防教育の実施(2)若年女性が相談しやすい受け皿づくり(3)インターネットを活用したアウトリーチ(手を伸ばすという意味)の強化―です。

一つ目は、小・中学校、高校などに通う子どもたちに対して、人生において困難な問題が立ちふさがった場合の対処法や、困った場合にどこに相談をしたらいいのかを教えることです。

現在は自殺を考えていなくても、どうなるか分からない。12年1月に内閣府が実施した意識調査によると、国民のおよそ20人に1人が最近1年以内に自殺を考えたことがあると回答したとの調査結果もあります。こうした時が来たときに、必要なライフスキル(日常の問題などに対し、適正に対処する能力)を学校で教えることに意味があると思います。

二つ目は、若者が相談しやすい体制づくりです。中でも若年女性は恥ずかしさなどから行政機関などへ相談に訪れない傾向にあります。また、自殺を図った自殺未遂者は、身体的なケアのみで、精神的なケアを施さないと、繰り返す傾向にあります。医療機関と地域の連携を強めることで、自殺未遂後の自殺を防ぐ可能性があります。

三つ目は、一般的に自殺のリスクが高いとされる「高校中退・進路未決定者」へのきめ細やかなアウトリーチ策を抜本的に強化することです。インターネットで自殺の手段を検索したり、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で「死にたい」などの自殺をほのめかす書き込みをした人に対して、入力した検索ワードに関連した広告が出てくる「リスティング広告」の手法を使い、相談行動へ導くよう、求めています。

―若者の自殺対策について、今後の展望などを聞かせてください。

谷合 一番いけないのは、誰にも言えずに本人が追い込まれてしまうことです。日本において未来ある15~39歳の若者の死因の第1位が自殺であるという事実は、あまりにも看過できない問題です。先進国を見てもそんな国はほとんどありません。

国を挙げて若者の自殺予防に取り組むため、地方自治体で効果的な施策ができるよう、地域自殺対策緊急強化基金の恒久財源化をさらに国に働き掛けていきます。その一方で、公明党のネットワークで実情に合った支援ができるように、党地方議員との連携を強化していきます。

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