e都市の集約化 住民の理解と協力が不可欠
- 2014.08.04
- 情勢/解説
公明新聞:2014年8月2日(土)付
人口の減少・高齢化に対応するため、病院や商業施設が中心市街地に集まるよう促す改正都市再生特別措置法が1日、施行された。
地方では、人口の高齢化や減少、市街地の拡散が進み、生活を支える都市機能をいかに維持するかが大きな課題となっている。利用する施設が一定の生活圏に集約されていくと便利になるが、まちづくりは決して容易ではない。
改正法がめざすのは、全ての住民を中心市街地に集める一極集中型ではなく、複数の拠点を公共交通でつなぐ多極ネットワーク型のコンパクトシティだ。都市機能の移転を促す支援制度を講じながら、まちづくりを進めていく。
具体的には、市町村が立地適正化計画を策定し、商業施設や福祉・医療施設などを誘導立地する区域と、住宅を誘導立地する区域を指定する。区域内に立地を進める施設を国が税財政面などで優遇する一方、指定区域外での大規模な宅地開発などは市町村が制限できるようにする。
集約型都市の利点は多い。都市機能を鉄道の主要駅やバス停の周辺に集めれば、車を運転できない高齢者などは便利になる。市街地が狭ければ、道路や上下水道などインフラ(社会基盤)の維持・整備費用の削減が期待できる。
ただ、実現は困難を伴う。自然環境や歴史遺産の保護、地域コミュニティーの維持など、都市によってさまざま課題がある。地域の実情に応じた計画づくりが重要になる。
中心市街地によっては、再開発した地区に人が集まる反動で地区内から人が流出する恐れもある。広域的な視点からの調整が欠かせない。
特に、住宅を一定区域に集めることは難しい。区域内に住み替えた住民に対する税制優遇策などを検討すべきではないだろうか。
コンパクトシティを構築していく上で重要なのは住民との合意形成である。例えば、さいたま市では、老朽化した公共施設の統廃合に向け、住民の代表やまちづくりの専門家らが参加するワークショップを開催するなど、住民の理解を得るためにさまざまな工夫を凝らしている。
市町村は、住民とビジョンを共有しながら、まちづくりを進めてもらいたい。