e国会に設置される「情報監視審査会」とは
- 2014.08.19
- 情勢/解説
公明新聞:2014年8月19日(火)付
政府の恣意的運用防ぐ
特定秘密 指定の適否を判断・勧告
今年12月の特定秘密保護法の施行に合わせ、同法の運用を監視する「情報監視審査会」が国会に設置されます。同審査会の役割などについてQ&Aで解説します。
Q 情報監視審査会とは何か。
A 政府が行う特定秘密の指定や解除が適切かどうかをチェックするための常設の監視機関で、衆参両院に設置されます。
委員は、各会派の議席数に応じて割り当てられ、衆参各8人で構成されます。このほか、審査を要請した国会の常任委員会などの委員長や理事も出席することができます。
閣僚ら行政機関の長が指定する特定秘密は、防衛、外交、特定有害活動(スパイ)防止、テロ防止の4分野に大別されますが、いずれも国の安全保障に関する重要な情報であることから、秘密保護のため非公開の秘密会形式で行われます。内容を漏らした議員は懲罰の対象となります。
Q 主な活動は。
A 政府から特定秘密の指定、解除件数などの報告を受け、それが適切かどうかを審査します。また、審査会は必要に応じて政府に個別の特定秘密の提出を要求できます。その結果、審査会が「秘密指定は不適切」と判断すれば、指定解除などの運用改善の勧告をし、勧告の結果、政府がとった措置の報告を求めることができます。
一方、国会の常任委員会なども政府に特定秘密の提出を求めることができます。拒否された場合は、審査会が同委員会からの要請を受け、政府の対応を審査し、特定秘密の提出がなされるべきと判断すれば、政府に同委員会への提出を勧告します。
Q 設置の狙いについて。
A 政府による特定秘密の恣意的な運用を防ぐため、行政監視の観点から国会に設置され、これまで与党議員でさえ知ることのできなかった特定秘密を、野党議員を含めて知ることができるようになります。
ただ、三権分立の原則があり、特定秘密を国会に提出するかは最終的には政府の判断によりますが、森雅子担当相は国会審議で、「国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府としてはこれを尊重して適切に対応していく」と答弁しています。
Q 公明党の取り組みは。
A 情報監視審査会の設置については、公明党の大口善徳・特定秘密保護法のフォローアップに関するプロジェクトチーム座長(衆院議員)が中心となって、自民党と議論を重ね、同審査会を設置するための改正国会法についての合意づくりをリードしました。
当初、自民党は与党案を取りまとめる段階では、審査会は必要に応じて開催すればよいとの立場でしたが、公明党の強い主張で常時監視をする機関となりました。
Q 今後のスケジュールは。
A 現在、政府は有識者会議「情報保全諮問会議」を開き、特定秘密保護法の政令と運用基準について検討しています。
7月17日に示された政令素案では、秘密指定できる行政機関を、内閣官房や国家安全保障会議(日本版NSC)、外務、防衛両省、原子力規制委員会など19機関としました。
一方、運用基準素案では、情報の意図的な隠ぺいを防ぐための内部通報制度を創設することとし、不適切な特定秘密の指定や解除などを受け付ける通報窓口の設置、通報者の保護などが列挙されました。
また、特定秘密に該当するか否かを判断するための具体的な細目も示しました。防衛分野であれば、自衛隊の情報収集・警戒監視活動、自衛隊の潜水艦や航空機の性能などです。
政府は政令と運用基準の素案についてパブリックコメント(意見公募)を実施しており(8月24日まで)、秋に閣議で正式決定する方針です。