eお答えします 「包括ケア」提言のポイント<2>
- 2014.08.26
- 情勢/解説
公明新聞:2014年8月26日(火)付
国家戦略でイメージ向上させ、提供体制を柔軟に設定
人材、サービスどう確保?
Q 公明党の「地域包括ケア」提言では人材確保の必要性を強調しています。
A 今、介護人材を養成する専門学校などでは定員割れが進んでいます。2012年度の介護職員数は約150万人ですが、25年度には250万人が必要とされ、100万人も不足すると見込まれています。しかし、介護職に対するイメージを聞くと、「夜勤などがあり、きつい」「給与水準が低い」など、マイナスイメージが上位に挙げられています【グラフ参照】。
公明党はかねてより介護職員の処遇改善を訴え、賃金アップにも取り組んできましたが、超高齢社会を目前に控えた今、さらなる処遇改善を進めるとともに、介護人材の確保は国家戦略として取り組むべきだと訴えています。
Q 具体的な提案は?
A 学校教育の中で介護の仕事の深さ、尊さを学んだり、現場での体験学習を進めるなど、介護の仕事に興味を見いだせるような取り組みを求めています。また、イメージアップを図るために、テレビドラマで介護人材を取り上げることや、ヘルパーの名称を「ケアサポーター」に変更するなど、大胆かつ斬新な提案をしています。
さらに、高齢者の外出支援や生活支援の要望などに元気な高齢者が応え、その活動実績に応じてポイントを付与して現金や商品に還元できる「ボランティアポイント」の普及なども申し入れました。
このほか、リハビリ専門職は地域包括ケアを支える重要な人材です。提言では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚療法士(ST)らに加えて、鍼灸マッサージ師なども活用すべきだとしています。
Q 提言でいう「基幹的サービス」の拡充とは?
A 要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通して訪問による介護・看護を連携して行う「定期巡回・随時対応型のサービス」や、デイサービスを中心に利用しながら、必要に応じてショートステイや訪問介護を受けられる「小規模多機能型居宅介護」、さらに在宅医療を支える訪問看護などを例示しています。
これらのサービスは、地域包括ケアシステムを支える基幹的な役割を担うものですが、自治体ごとにサービス提供体制に大きな格差もあります。今後、サービスの普及啓発を図ることが必要です。
Q 今後、新しい地域支援事業も始まります。
A 医療・介護総合確保推進法に基づき、介護の必要度が低い要支援1、2の人向けの訪問・通所介護を、市町村事業に移すことになりました。現行のサービスに加え、多様な要望にも応えることが可能となります。サービスの設定に当たっては、自治体の実情に応じた柔軟な設定が求められます。
このほか提言では、認知症高齢者の増加に対応するために、高齢者の資産管理などを行う成年後見制度についても、市民後見人の育成や活動を支援する体制の整備促進などを訴えています。