e民法改正 「約款」契約の規制で消費者守れ

  • 2014.09.04
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年9月4日(木)付



企業が契約の方法として広く用いている「約款」を民法で規制し、トラブル防止と共に消費者保護にも役立てようとする議論が難航している。

3日に開かれた公明党「国民の視点に立った民法(債権法)改正に関するプロジェクトチーム」(座長・大口善徳衆院議員)では、「約款」規制が消費者保護にもつながるとの考えが示された。

「約款」は企業間取引だけでなく、インターネット通販や電気・ガスなどの公共サービス、交通機関の利用など消費者にも身近である。

例えば、ネット通販ではパソコン画面に膨大な契約条項が「約款」として表示され「同意する」「同意しない」と判断を求められるが、その条項を全部読み、理解した上で決める人はまずいない。契約後にトラブルが起きても「約款で定めてある」として取り合ってもらえない。交通機関の利用では切符を買うとき、いちいち「約款」が示されることさえない。

法制審議会(法相の諮問機関)の民法(債権関係)部会が先週決定した「民法改正要綱仮案」には、買い手を著しく不利にする条項は無効にするなど「約款」に関する具体策が示されたものの、「約款」を民法で規定するかどうかは結論が出ず、保留となった。その最大の理由は、経済界からの強い反対である。

大量の契約を円滑に締結するには、個々の取引ごとに契約内容を定めていては間に合わない。定型化された契約条項を示し、相手方に「同意」「不同意」だけを求める「約款」は企業にとって不可欠であり、公共サービスや保険契約など特定の分野では既に個別の法律で「約款」は規制されている。その上さらに民法によって規制する必要はない、というのが経済界の主張である。

これに対し法制審では、一方的に準備された「約款」で相手方を拘束することは契約として特殊であり、市民生活の基本を定める民法の中で「約款」を位置付けることによって、消費者の信頼が得られるとの議論もあった。

「約款」は20世紀半ばから発展した。120年前に制定された民法にはない。今回の民法改正の中で現代的な契約法をめざしてほしい。

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