e景気回復 地方経済に焦点当てた対策を
- 2014.09.12
- 情勢/解説
公明新聞:2014年9月12日(金)付
景気回復の足どりが気になる。
内閣府が発表した4~6月の国内総生産(GDP)2次速報値は、実質GDP成長率で前期比1.8%減、年率7.1%減だった。実質成長率と名目成長率ともに1次速報値から下方改定された。8月の景気ウオッチャー調査は、街角景気の現状判断指数が4カ月ぶりに悪化。消費動向調査も、5月から続いていた改善の動きが途切れた。
自公連立政権の経済対策が効果を発揮して、企業の業績が改善、今春闘は大企業を中心に賃上げの動きが広がった。ところが、それ以上に物価が上昇したため実質可処分所得が増えていない。
景気の好循環を構築するためには、今秋にも再開される見通しの政労使会議を利用して、企業収益を着実に賃金上昇と雇用確保につなげてもらいたい。
長く続いたデフレからの出口は見えてきたものの、景気回復の動きは特に地方に及んでいない。GDPや雇用者数の7~8割を占める地方経済に焦点を当てた対策が必要だろう。
地方の労働生産性(労働者1人当たりの生産額)は米国の半分程度、先進国比で最低レベルにある。人口減少による構造的な人手不足の下で、サービス業や中小・小規模企業が大半を占める地方経済を活性化するには、経営・金融支援などの強化とともに、人材教育やICT(情報通信技術)の活用によって生産性を高めることが欠かせない。
人口減少と地方創生に対応するため安倍首相は今月、自らを本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」を発足させた。同本部の有識者会議では、全国各地で成果を上げるさまざまな地方活性化策が報告された。年内には中長期ビジョンをまとめるが、パッケージ化された全国一律の施策・制度ではなく、地域の実態とニーズに合わせた柔軟な仕組みにすべきだ。そのためにも、地方の意見を十分に聞いてもらいたい。
個人消費と同様、景気回復の鍵を握る輸出も伸び悩んでいる。産業競争力を強化していくことも不可欠である。官民で対策を進めるべきだ。
政府には、機敏かつ十分な対応を求めたい。