e地方の起業家支援 相談や資金調達をしやすく
- 2014.09.17
- 情勢/解説
公明新聞:2014年9月17日(水)付
地方で起業する人材を育てる「創業スクール」の開講が本格化している。
創業スクールは、中小企業庁の委託事業として、商工会議所や信用金庫などが、起業を志す人に経営知識や資金調達の方法などを教え、ビジネスプランの作成を支援する。中小企業庁は全国300カ所での開催をめざしている。
地域で新たな会社や事業が増えれば、雇用の創出や地方経済の活性化につながる。創業を後押しする取り組みを各地に広げていきたい。
ただ、日本の起業に課題がないわけではない。
新しい会社がどれだけ増えたかを示す「開業率」は、欧米主要国の10%前後に比べ、日本は4.6%と半分以下である。新会社への投資に積極的な欧米とリスクを嫌う日本の国民性の違いや、開業手続きの煩雑さなどが理由とみられ、世界銀行が行った起業しやすい環境に関する国際調査では、日本は総合順位で120位と低い結果となった。
起業のための環境づくりを整えなければならない。
例えば、起業家は悩みが起きた時に相談する相手がいないことが多い。さまざまな困難に直面しても、頼りになる人がいれば、役に立つアドバイスを受け、挑戦し続けられる。自治体の中には、地域の金融機関やNPO法人などと連携して、総合的な創業相談窓口を設けているところが増えてきた。地域のネットワークを活用した相談支援の強化が望まれる。
資金調達の難しさも支障となっている。
起業家は金融機関から融資を受ける際に個人保証を求められる場合が多い。個人財産によって資金の返済を保証するので、返済ができなければ自宅が差し押さえられるなど生活が破綻する恐れがある。このため、起業に慎重にならざるを得ない。
個人保証を求めない融資の普及など、資金調達への支援は欠かせない。
創造性や自主性、チャレンジ精神などを培う起業家教育も重要だ。
専門家を招いて話を聞いたり、ビジネスの疑似体験活動を行っている学校もある。社会人になるための基礎能力を身に付ける上でも有益であり、力を入れていきたい。