e地域に眠る資金を活用せよ

  • 2014.09.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年9月18日(木)付



NPO支援



近年、社会貢献と収益の両立をめざすソーシャル・ビジネス(社会的企業)や、NPO法人(特定非営利活動法人)の存在感が増している。東日本大震災から3年半が経過した今も、被災地では復興を支え続けるNPOは多い。来年度からは介護保険の分野でも、NPOの役割が期待されている。こうした事業者らが、存分に活動できる環境を積極的に整えていきたい。

社会的な事業の普及には、自治体の担う役割が重要になる。経済産業省によると、事業者の約8割は自治体と連携している。地域の資源や住民のニーズ(需要)、課題を把握している自治体が、関係者に働きかければ事業が軌道に乗りやすいためだ。ただ、今のところ、地域のニーズに対して、事業者のサービスが十分に届いているとは言えない状況もあるので、取り組みを強めなければならない。

社会起業家やNPOの多くは、資金の調達に悩んでいる。法人設立の段階では実績もなく、十分な資産を持たない事業者は、金融機関から融資を受けるのが難しいからだ。

その一方で、預貸率(預金と貸出金の比率)が低い地方の銀行や信用金庫には、資金の有効な貸出先として、社会起業家に融資しやすい制度改正を求める意見もある。

休眠預金の活用を望む声も根強い。これは、一般的に10年程度も取引がなく、預金者にも連絡が取れない口座に残された預金のことで、現在は会計上、金融機関の利益に計上されている。毎年800億円程度発生しているとされ、持ち主から請求があれば預金は必ず払い戻される。

残りの資金は、NPOなどの活動資金として活用している国もあり、わが国でも前向きに検討してほしい。

社会貢献の分野は従来、定年退職後のシニア層らが中心的な役割を果たしてきたが、最近は老若男女を問わず幅広い人材が活躍している。行政には財政上の制約もあり、地域サービスの全てを担うことは容易ではない。

今後、豊かな地域社会を築くには、社会起業家やNPOによる協力は不可欠だ。事業者、地域住民の双方のニーズを満たす社会貢献活動は時代の要請であり、普及を積極的に後押ししていきたい。

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