e公明党全国大会での質疑(要旨)

  • 2014.09.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年9月23日(火)付



21日の公明党全国大会では活発な質疑が行われた。代議員として参加した地方議員の質問と党幹部の答弁の要旨を紹介する。
安保法制の整備と核廃絶


閣議決定によって憲法の平和主義の柱を確認

山本信幸代議員(長崎市議) 7月1日の閣議決定が示した新たな安全保障法制の整備について、公明党は合意形成の要の役割を果たした。今後の法整備と、紛争を未然に防止する平和外交の強化に、どのような役割を果たす考えか。来年の被爆70年に向け、長崎県本部は被爆者の声を後世に伝える活動や、旧城山国民学校「被爆校舎」の文化財指定を求める署名活動の支援などを進めている。公明党の取り組みを聞きたい。

山口那津男代表 安全保障の法的整備は、閣議決定と7月14、15日の国会質疑での首相、内閣法制局長官の答弁が根拠になる。これらを忠実に反映させることが重要だ。大事なことは閣議決定で日本の憲法の平和主義の柱を確認したことである。抑止力は万が一の備えであり、紛争を積極的に解決するには、外交すなわち対話による平和的解決が重要であることが示されている。法整備は与党と政府で進めるが、公明党から石川博崇参院議員が防衛大臣政務官に任命され、防衛相から法制整備の補佐をするよう命を受けたと伺った。政府与党でしっかり取り組む。

外交については日中、日韓で独自に対話の交流を重ねてきた多くの諸先輩の苦労を生かし、良好な外交関係に向け努力をしていく。

長崎県本部が取り組む平和事業を党としても応援していく。核廃絶については8月に広島で発表した提言で、核廃絶への法的枠組みの実現を図るよう訴えた。具体的には来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、わが国の核廃絶へのメッセージを発信するよう政府に求めていく。さらに、世界の指導者に被爆地を訪れるよう訴えていく。


東日本大震災の復興

中間施設受入れは大きな一歩。風評対策も強化

小島寛子代議員(福島・郡山市議) 福島復興の最重要課題は原発事故の収束だ。汚染水対策は大丈夫か。

県・大熊町・双葉町が中間貯蔵施設の受け入れを表明し、仮置き場に保管している汚染廃棄物を来年1月から搬入することとなっている。より具体的な工程を早期に示すことで、汚染に対する不安に対応できる。風評被害も深刻の度を増している。正しい理解の普及啓発に努めてもらいたい。

井上義久幹事長 汚染水対策の過程でトラブルがあり、心配をかけているが、作業員の懸命な努力で、全体としては、おおむね順調だと認識している。進ちょく状況を国民に開示し、相互理解の中で対策を進めることが重要だ。効果的な除染の取り組みも加速する。

中間貯蔵施設は、復興に向けた大きな一歩だ。受け入れの前提である「30年以内に、福島県外で最終処分を完了する」との旨を法律に明確化し、両町の生活再建・地域振興に向け、政府・与党で責任を持って取り組む。県内の汚染廃棄物の搬入も、できるだけ来年1月から開始できるよう強く政府に促し、工程・道筋も明らかにしていく。

風評被害対策では、被災地産品の放射能検査、消費・販路拡大、被災地への誘客促進などに取り組んでいく。

避難指示区域の見直しで、帰還への新たな段階に入った方には、適切なリスクコミュニケーション(危険性に関する情報共有)が欠かせない。併せて全国の国民に対しても正しい知識の普及啓発を強化する。


人口減少・地方創生

地元金融機関巻き込み地域経済の好循環推進

三島治代議員(島根県議) 活力ある地域づくりは、一にも二にも「人づくり」だ。国は「地域おこし協力隊」事業などを拡大する方向だが、自治体により定着率にばらつきがある。地域に根付く人材育成について見解を伺いたい。

地域の雇用創出は容易でない。中小・小規模企業の経営支援策や農林水産業振興策、地域金融の機能強化をどう図るのか。国に地方創生の支援を求めるためには、自治体の地域計画の策定が柱になるようだが、この作業は住民との対話が欠かせず、十分な時間の確保を考慮するなど、きめ細かな対応をお願いしたい。

石井啓一政務調査会長 「地域おこし協力隊」の6割は移住先に定着しているが、課題もある。自治体と協力隊員とのマッチングなど、事業の見直しを進める。

若者の定着と地域活性化のため、地域を支えるあらゆる産業について、ニーズに応じた振興策を講じていく。総務省を中心に取り組む「地域経済循環創造事業」は、地元の金融機関を巻き込んで事業の立ち上げを行うもので、地域経済の好循環が生まれており、一層推進したい。

臨時国会では、国の縦割りを排して地域ごとの取り組みを総力を挙げて支援する体制をつくる。地域づくりは住民との対話の中で生まれるものであり、一定の時間は必要だ。地方計画の策定段階や実行段階において、自治体に対しきめ細かな対応ができるよう国に求めていく。


女性の活躍推進策

元気応援プランで子育て支援、起業を後押し

小松幸子代議員(千葉・柏市議) 安倍内閣が女性の活躍推進を成長戦略の中核に位置付けたが、結婚や出産で退職を余儀なくされるケースがある。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現するため、短時間勤務制度や、在宅で仕事ができるテレワークなど多様な就労形態の導入を推進すべきだ。子育て・介護と仕事の両立を支援する育児・介護休業制度の拡充に対する党の考えは。

山口代表 子育てや介護などの状況に応じて、柔軟に対応できる職業環境の整備は大事な目標だ。ワーク・ライフ・バランスといっても、中小企業や小規模事業所では「中心戦力の女性に休まれては仕事が成り立たない」という悩みも多い。小規模事業所で働く女性の育児休業を促進する「両立支援等助成金」制度が実施中だが、どれだけ現場で活用されているのか、充実した予算措置が取られているのか、今後しっかり検討していきたい。

党は今年5月に「女性の元気応援プラン」を発表した。仕事と育児・介護の両立支援、起業の後押し、生涯健康で働ける健康支援の三つを掲げた。党の総力を挙げ、着実に実現することが重要である。


地域包括ケアの構築

報酬改定時に介護職の賃金を着実に引上げへ

三縄雅枝代議員(長野・東御市議) 超高齢・少子化社会を迎え、「地域包括ケアシステム」の構築は、地域で安心して暮らすために不可欠な施策だ。ただ、団塊の世代が75歳以上となる2025年には医療と介護の需要が急増すると見込まれている。医療・介護の人材をどのように確保するのか。

また、他業種に比べ賃金が低いため、介護を担う人材の離職率は高い。どのように待遇改善するのか。高齢者の住まいの確保も喫緊の課題である。所得が少ない人のための住宅支援策を拡充すべきだ。

石井政調会長 公明党の地域包括ケアシステム推進本部は7月、国の「人材確保指針」を見直し、国家戦略として医療・介護を担う人材を確保するよう政府に要望した。NPO法人などが支え手となる新しい地域支援事業を後押しするとともに、有償ボランティアの活用を積極的に推進したい。

介護職の待遇改善に党として引き続き全力で取り組む。党の推進本部は、15年度の介護報酬改定で着実な引き上げを政府に提言した。12年度に導入された介護職員処遇改善加算は、介護職員の経験年数の評価などが行われ、キャリアパス(能力アップの道筋)の構築が進むようにする。

一方、低所得の高齢者のため、空き家などを活用した住宅の提供や家賃補助制度の導入を推進していく。


統一地方選の取り組み

次の50年へ、党の基盤築く緒戦。全員当選へ総力

大道義知代議員(京都市議) 来春の統一地方選をどのような位置付けで取り組むか。また、有権者の心に響くインパクトのあるメッセージを示してほしい。

地方創生が重要テーマになる中、地方議員の役割はますます重要になり、その資質、在り方も問われている。今後、どのように議員力をアップさせるか。

次の50年を見据え、党の方向性を示すビジョンを策定する考えはあるか。

井上幹事長 統一地方選は、その先の参院選、衆院選を含む一大政治決戦の最初の選挙であり、次の50年へ、党の揺るぎない基盤を築くための緒戦でもある。全員当選へ総力を挙げて取り組みたい。有権者の心に響くメッセージは知恵を出して発表したい。

今後の地方議員は行政のチェック役に加え、「わが地域をどうするのか」との構想力が求められる。必要があれば議会の意思をまとめて首長と対峙したり、条例を出していく姿勢が求められる。それができるのは公明党しかない。力を合わせて頑張っていきたい。

ビジョンについては第一弾として「外交・安全保障論」を発表した。11月17日に向け「政党のあり方」や「社会保障」に関するビジョンも発表したい。党としては「大衆とともに」の立党精神をどう深化させるか、党のネットワークをどう強化するかが一番大事だ。

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