e御嶽山噴火 救出と安否情報提供に全力を
- 2014.09.29
- 情勢/気象
公明新聞:2014年9月29日(月)付
長野と岐阜県にまたがる御嶽山が7年ぶりに噴火した。高温の火山灰などで多数の登山者が被害を受けた。
長野県警は28日、山頂付近で心肺停止状態にある31人の人たちを確認したと発表したが、全員を救出できていない。有毒ガスの発生する場所で二次災害に気をつけながらの救出活動は困難を極めるが、救援・捜索活動に全力を挙げてほしい。
御嶽山の麓にある長野県木曽町の災害対策本部や同県王滝村にある避難所には、家族が登山に行ったまま連絡が取れない、携帯電話に応答しないなど行方不明を心配する問い合わせが複数あるという。災害対策本部や県警は、登山者に関する安否情報を迅速に伝えてほしい。
火山噴火予知連絡会によると、噴火活動は終息しておらず、今後も同規模の噴火が起きる可能性があるという。火口の4キロ程度の範囲では大きな噴石の飛散の危険があるため、引き続き警戒を呼び掛けている。
火山灰による農産物や生活への影響も心配だ。長野県ではハクサイ畑約18ヘクタールに火山灰が降ったことが確認された。
日本には活火山が110ある。このうち、噴火して被害が出る恐れがある47火山は、噴火や噴火の前兆現象を監視する24時間の観測態勢を敷いている。御嶽山もその一つだ。
噴火はマグマが直接噴出する「マグマ噴火」と、地下水がマグマに熱せられて起こる「水蒸気噴火」に大別される。今回は、半月前から山頂付近での地震活動の活発化は確認されていたが、ほかに噴火の前兆はなかった。複数の専門家は予兆をつかむことが難しい「水蒸気噴火」と考えられると指摘しており、噴火予知の難しさがあらためて示されたといえよう。
ただ、微細な兆候でも登山者らに事前に知らせる工夫はできなかったのか。今後、検証してほしい。
日本は火山大国である。大地震の後に火山が噴火する例は世界的にも多い。2011年の東日本大震災を経験したばかりの日本は、地震だけでなく火山にも警戒を怠ってはならない。今回の教訓を生かし、噴火警報や活火山の監視体制を強化してもらいたい。