eてんかん月間 社会参加促進へ理解広げよう
- 2014.09.30
- 情勢/解説
公明新聞:2014年9月30日(火)付
あす10月1日から「てんかん月間」が始まる。てんかんは慢性の脳疾患の一つで、わが国では100万人が患い、毎年5万人が新たに診断されている。"まれな病気"ではないものの、患者は就職や結婚などで差別を受けることが多い。誤解や偏見を排し、正しく理解していきたい。
例えば、「けいれんを起こして突然卒倒する」と思われがちだが、それは一つのタイプに過ぎず、数十秒程度、意識がなくなったり、短時間ぼんやりするなど、発作の症状は千差万別である。全患者の7~8割は、抗てんかん薬の服用によって発作をコントロールでき、支障なく社会生活を送ることができる。
こうした患者の社会参加などを目的に道路交通法が改正され、てんかん患者にかかわる自動車運転免許の欠格事由が廃止され12年になる。<過去5年以上発作がなく、今後起こる恐れがない><発作は睡眠中に限り、病状悪化の恐れがない>などの医師の診断があれば、免許が取得できる。持病のあるドライバーには、医師の指示に従った適切な服薬や体調管理を望みたい。
社会参加が促された一方、近年は運転中のてんかん発作による重大事故が相次いだ。これを機に病気の影響などで死傷事故を起こした運転手に厳罰を科す「自動車運転死傷行為処罰法」が今年5月から施行。てんかんなど六つの病気を対象に、最高で懲役15年が科せられるようになった。
厳罰化によって危険な状態での運転を抑制するのが狙いだが、持病を隠して免許を取得するケースがいまだ散見される。周囲の理解不足から約半数の人が、てんかんを隠した経験があるとの調査結果もある。事故を防ぐためにも、患者が病を告白しやすい環境づくりが必要だろう。
また、身体に障がいのないてんかん患者に交付されるのは精神障害者保健福祉手帳であるため、JRなど公共交通の運賃減額制度が適用されない場合が多い。通院交通費の助成や福祉タクシー券など受けられるサービスが自治体によって異なる。どこに住んでいても、移動の自由が確保される支援策を進めるべきだ。
事故の悲劇を繰り返さず、患者の社会参加を進めるため、病気への理解を広げたい。