e日本文化の発信 官民あげて番組輸出の拡大を
- 2014.10.02
- 情勢/解説
公明新聞:2014年10月2日(木)付
日本の大衆文化を海外へ発信する手段として、ドラマやアニメなどのテレビ番組の輸出が注目されている。日本のドラマが各国のテレビ局で放送されて高視聴率を記録したり、現地版にリメーク(作り直し)されたバラエティー番組が大人気を博しているケースも出てきた。
10月上旬からは総務省のモデル事業の一環として、日本の民放各局やNHKで制作したドラマを、ベトナムで継続的に放送する取り組みが始まる予定だ。今後、フィリピンをはじめマレーシア、インドネシア、タイ、ミャンマーの東南アジア5カ国でも、モデル事業が展開される。
番組を通じて日本に興味や関心を持ってもらえれば、国のイメージ向上につながるだけでなく、訪日観光客の増加や日本製品の普及が期待できる。韓国が国策として韓国ドラマの輸出を積極的に後押しして、アジアで"韓流ブーム"を巻き起こすきっかけをつくり、自国製品の市場拡大に成功を収めた例もある。
官民を挙げて輸出拡大に取り組みたいが、課題は少なくない。
総務省によれば、音楽や映像などの日本のコンテンツ市場は総額約11兆円と、米国に次ぐ世界第2位の規模だが、海外輸出比率は5%にとどまり、17%の米国を大きく下回っている。特にテレビ放送の市場規模は韓国の約10倍ありながら、輸出額(62億円)は3分の1程度にすぎない。
伸び悩んでいる背景の一つとして、権利処理の問題が指摘されている。
海外放送を含めた二次利用の場合、出演俳優や使用される音楽の著作権の利用許諾を得るまでの手続きが複雑で、手間や費用がかかるためだ。手続きを迅速化・簡略化しなければならない。
世界中で視聴が可能なインターネットの動画投稿サイトに流れる違法動画への対応も重要になる。
日本国内で放送された後、日を置かずに現地語の字幕付きで無許可動画がアップされてしまうドラマ番組も多いという。不正行為を放置していると、正規版の輸出価値を損なってしまう。不正流用への監視を強化するとともに、日本国内と同日放送を行うなどの工夫が求められる。