e地方創生は「ひと」が中心
- 2014.10.02
- 情勢/社会
公明新聞:2014年10月2日(木)付
行政サービス、なりわい確保を
成長戦略 「地域の好循環」実現めざせ
復興加速 中間貯蔵、国の責任明確に
消費増税 軽減税率の制度設計急げ
がん検診 受診率向上へ啓発進めよ
衆院は1日、本会議を開き、安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は、地方創生や女性・若者が活躍できる国づくり、近隣諸国との関係改善など、政治課題は山積していると指摘。11月17日に公明党が結党50年を迎えることに触れ、「現場第一主義を貫き、地方議員、国会議員のネットワークを通じて、国民の声を政治に届ける」と訴えた。
=質問要旨と政府答弁要旨新しいウィンドウで開く
衆院本会議で井上幹事長
【災害対策】御嶽山の噴火について井上幹事長は、犠牲者に哀悼の意を表した上で、「救助活動に全力を挙げるとともに今後の火山活動に対する万全な監視・警戒体制を敷き、住民の安全確保などに努めるよう強く要請する」と訴えた。
安倍首相は「今回の経験を踏まえ、火山活動の監視を強化するなど防災対策にスピード感を持って取り組む」などと答えた。
【復興加速、経済再生】井上幹事長は、東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設に関して、「30年以内に福島県外で最終処分を完了することや、施設に関する国の責任を法律に明示すべき」と強調。また、東日本大震災の集中復興期間(5年間)が来年度で終了することに触れ、「期間後も安心して復興に取り組めるよう、財源の確保で方向を示すべきだ」と迫った。
一方、経済の再生に関して井上幹事長は、「カギは地域経済の活性化にある」と指摘。中小サービス業などの生産性を向上させ、「地域の好循環」を実現する成長戦略が重要と述べた。首相は「地域の成長を後押しする成長戦略の進化に取り組む」と答えた。
井上幹事長は軽減税率制度の導入について、「(消費税率)10%時に導入する」との与党合意に沿って制度設計を急ぐべきと主張した。
【活気ある温かな地域づくり】井上幹事長は、地方創生は「『ひと』が要であり、中心」と強調し、行政サービスの充実と、地域で生計が立てられる"なりわい"の確保を両立させ、「住み続けられる地域」をつくることが重要と訴えた。その上で超高齢社会を支える介護人材の確保へ、「福祉人材確保指針」の見直しを要請。首相は「福祉人材確保のための国の指針を見直し、総合的な方策を講じる」と答えた。
また井上幹事長は、魅力ある地域づくりへ、都市部の若者が過疎地で暮らして地域協力活動を行う「地域おこし協力隊」の事業拡大を主張。首相は「効果の高い政策を集中的に進めていく」と応じた。
さらに、井上幹事長は女性と若者の活躍で活力ある地域づくりを進めるよう訴えたほか、安心の地域づくりへ「国と地方が連携し、地域の防災・減災対策を強化すべきだ」と述べた。
【農林水産政策】井上幹事長は、農地を借り受け、担い手に貸し付ける仲介役となる「農地中間管理機構」(農地集積バンク)について「秋から本格的な農地の利用調整が始まる」とし、市町村での推進体制の整備など国・地方を挙げた取り組みを進めるよう訴えた。首相は、「農地集積に各地の状況に合わせて精力的に取り組む」と答えた。
さらに井上幹事長は、東京五輪関連施設への国産材の活用推進や直交集成板(CLT)の普及加速化のほか、国内水産物の消費拡大に向けた取り組みを推進することなどを求めた。
【難病、がん対策】今後の難病対策について井上幹事長は、「超希少難病の治療薬や、医療機器の研究・開発を国として強力に支援すべきだ」と主張。首相もこれらの施策の着実な推進で、「難病克服に向けて全力を傾ける」と応じた。
また井上幹事長は、がん検診の受診率を「2016年度までに50%」にする目標に対し、現状は3割程度にとどまっていることに触れ、一層の啓発を訴えた。
【外交・安全保障】井上幹事長は、中国、韓国との関係改善へ「政府・与党が連携し、重層的な対話を促進していくことが重要」と訴えた。
首相は、日中関係について「11月に北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で首脳会談ができればよい」と述べた。
このほか、井上幹事長は再生可能エネルギーの導入促進に関連し、「緑の贈与制度」の導入も求めた。