e「FAO国際シンポジウム」(ローマ)に参加して
- 2014.10.07
- 情勢/国際
公明新聞:2014年10月7日(火)付
環境保全型農業を推進し世界に貢献
手記 佐藤英道 農水大臣政務官
9月19日に、イタリアのローマに本部がある国際連合食糧農業機関(FAO)本部で開かれた「アグロエコロジーに関する国際シンポジウム」に出席するとともに、セネガルのセック農業・農村設備大臣、FAOのグラツィアーノ事務局長ら要人と意見交換しました。
アグロエコロジーとは国際的な定義がないものの、環境や生態系と共存した農業生産をめざす活動のことです。農薬を使用しない有機農業と同じ出発点とされており、多面的機能を維持しながら持続可能な農業を確立する上で、欠かせない取り組みと言えます。
その一つが、フランスのルフォル農業食品産業森林大臣、セック大臣、コスタリカのアラウス農牧大臣、アルジェリアのノウリ農業農村開発大臣らが出席したシンポジウムで、私が講演の中で紹介した日本の環境保全型農業です。これは1992年から考え方が広がり始めたことを契機に、全国的に推進する取り組みが始まりました。具体的な効果として同年以降、化学肥料の需要量が約20%、化学合成農薬の出荷量が約40%それぞれ低減していることが明らかになっています。
ただ、化学肥料や農薬をできるだけ使用しないため、生物多様性保全に効果の高い営農活動などに取り組むことから、通常の栽培と比べて費用がかかる上、日本では農業従事者の高齢化が進んでおり、それに要する労力も並大抵ではありません。しかし、環境保全型農業は、安全性や品質面で消費者ニーズの高い農産物を生み出し、結果的に生産者の所得向上に大いに貢献しています。
セック大臣らとの意見交換会でも、そのことが話題に上る場面が多くありました。今後も、アグロエコロジーを推進する各国と情報交換しながら、
国際社会への貢献として環境保全型農業の取り組みを積極的に推進してまいります。