e世界経済に暗雲 景気下支えと地方創生が鍵に
- 2014.10.16
- 情勢/解説
公明新聞:2014年10月16日(木)付
世界経済の雲行きが、怪しくなってきた。週明けの米ニューヨーク株式市場の急落を引き継ぐように、東京株式市場も約2カ月ぶりに一時1万5000円を下回った。
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、各国が低成長に陥るのを避けるための方策が議論された直後である。市場が各国・地域に、成長率を引き上げる経済対策を実施するよう催促しているかのようだ。
世界経済の失速は、欧州不安に一因がある。ユーロ圏は、4~6月期の経済成長率が前期比横ばいとゼロ成長だった。より深刻なのは、物価上昇率が9月まで1%を12カ月連続で下回り、デフレ転落の懸念が広がっている点だ。デフレは、あらゆる商品の価格を下落させ続ける経済現象だ。価格下落は企業収益を悪化させ、その結果、従業員の給与の低下とそれによる国内消費の減少をもたらす。
欧州中央銀行は現在、民間銀行の資産を買い入れる金融緩和で銀行の貸し出しを促し、投資額を増やす努力を続けている。金融政策の効果は大きい。だが、G20財務相・中央銀行総裁会議で提起されたように、直接的に経済成長を刺激する財政出動を組み合わせることも必要ではないか。米国に次ぐ経済規模を誇る欧州がデフレと認定されれば、悪影響は大きい。
日本の主要貿易国の米国も、ドル高で輸出を中心に国内経済に悪影響が出そうだ。わが国としては、世界経済悪化の余波を食い止め、補正予算を含めた当面の景気下支え策を講じるべきである。
中長期的な経済対策は、自公政権が進める地方創生の実現が鍵になるだろう。地方は日本経済全体をも押し上げる潜在力があるからだ。都道府県別の総生産額によると、最大の東京都と最小の鳥取県との生産額の差は約90兆円もある(内閣府)。各自治体間の経済力の差を生む要因の一つは、観光など豊富な地域資源の十分な活用を妨げる国の規制や縦割り行政の弊害だ。
各自治体が経済力を今より数パーセントでも上げることができれば地域が活性化し、国への経済効果も生まれる。地方創生関連法案を成立させ、地方を日本経済を押し上げる主役にすべきだ。