eコラム「北斗七星」

  • 2014.10.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年10月20日(月)付



「スタンディング車椅子」をご存じだろうか。座位部分がせり上がり、自力では立つことのできない乗員を直立した姿勢にしてくれる車椅子だ。なかには、そのまま微速移動できる車種もあり、欧米では日常生活やリハビリへの利用が進んでいる◆"立つ"という行為は、血液循環の増進、残尿量が減る、便通改善など、数多くの医学的効果が認められる。1日数時間でも同車椅子で立ち上がることで、健康維持に大いに役立つと期待されている◆美・理容師など立ち仕事といわれる職種は数多い。車椅子生活になった時点であきらめていた、こうした仕事もスタンディング車椅子の登場で継続の可能性が大きく広がる。車椅子利用者の目線の高さは幼稚園年長児くらいで、コンビニなどでは最下段かその上が見える程度。同車椅子なら最上段まで見渡せるようになり、新しい世界が開ける◆この"夢の車椅子"利用を広げるには課題も多い。歩道の整備などユニバーサルデザインの一層の推進が肝要だし、高額な購入費をどうするかといった問題を克服しなければ利用は進まない◆リハビリ施設などに同車椅子をまずは導入し、実体験してもらい有効性への理解を深めてもらうのも一案だ。車椅子利用者に、より快適な生活をしてもらうため国や自治体は立ち上がってもらいたい。(爽)

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