e合意を導く唯一の"要党"
- 2014.10.20
- 情勢/解説
公明新聞:2014年10月20日(月)付
結党50年 公明党を語る
中間層の縮小を直視し「大衆とともに」の深化を
北海道大学公共政策大学院准教授 吉田徹氏
公明党は一貫して「大衆とともに」を掲げて歩んできた。結党50年を期に将来へ出発するに当たり、その「大衆」像が今では大きく変化していることを踏まえる必要がある。
今日、日本は低成長の時代に入り、戦後の安定と繁栄を支えてきた「分厚い中間層」が縮小してきている。そしてこの「分厚い中間層」こそが、公明党にとっての「大衆」の多くを占めてきた。
人々の価値観や政治的要求は、今までになく多様化している。「大衆」のイメージが刷新されず、明確な像を結ばないままでは、早晩、国民の期待に応えられなくなる恐れがある。「大衆とともに」のさらなる深化と拡大が求められる。
ニーズが多様化している人々の声に敏感に反応していくとともに、政策を説明する際も、支持者向けの"内向き"な説明にとどまらずに、広く国民がプラスの意義を見いだせるような前向きなメッセージを発信していくことが、かつてないほど大事になってきている。
中でも、「福祉」の在り方は変化を求められている。社会保障制度を見直し、雇用形態などで差別されない、もっとユニバーサルな制度をめざす必要があるのではないか。
中間層の縮小は、社会における連帯や信頼の意識の希薄化を招き、競争や対立の風潮を生みがちだ。歴史的にみても、中間層が没落の危機意識を持つとき、ファシズムのような急進的な政治が台頭する。
だからこそ、「中道主義」を掲げる公明党の存在がますます重要になってきている。「中道」は、アリストテレスの言う「中庸」、すなわち"過剰をいさめて不足を補う徳"という言葉にも通じる。この徳でもって、コンセンサス(合意)を形成していくのが公明党の役割ではないだろうか。
日本の政党政治は、"党員なき政党"と無党派層を中心とする"スイングする民意"によって漂流し続けてきた。それゆえ政治家は有権者の目を引く政策、争点を設定する誘因に駆られやすい。しかしそれでは、地球温暖化問題や世代間の不公平の問題など、近年増えつつある中長期的なスパンで取り組むべき重要課題が置き去りにされてしまう。
政治が本来、腰を据えて取り組むべき課題に対し、真正面から向き合っていけるのは、短期的視野にとらわれない体力を持っている公明党だ。安定した支持基盤の下、国政と地方政治の両方に足場を持ち、政治家を輩出・育成する機能も備える公明党は、他党にはないポテンシャル(潜在力)を持っている。
日本政治で唯一とも言える"扇の要""要の党"として左右をつなぎ、合意を導く役割を、今まで以上に果たすことを願う。