eコラム「北斗七星」
- 2014.11.06
- 情勢/社会
公明新聞:2014年11月6日(木)付
深海に眠る"宝石"を公然と根こそぎ持ち去るのでは看過できない。小笠原諸島沖などで中国漁船が密漁するサンゴは、水深100メートルほどに生息。岩礁をつくるサンゴとは別種で、硬質で磨くと美しい光沢を放つ◆「宝石サンゴ」とも呼ばれるゆえんで、希少な赤サンゴは、中国の富裕層に人気が高い。入札では今や1キロ200万円~600万円という高値が付き、中国では最高級ものが1グラムで30万円超(中国メディア)というから驚く◆一獲千金を狙う密漁船が日本近海にまで荒らしに来るのは、(1)中国当局がパンダと同様に「国家一級重点保護動物」に指定し取り締まりを強化(2)乱獲で台湾周辺海域での生息数が減少(3)日本では逮捕されても釈放時の担保金が低い―ためという◆「漁業に深刻な影響があり、住民不安も高まっている」。都議会公明党は先月24日から小笠原諸島を視察した際、密漁問題に対する現地の強い懸念の声を受け止めた。すかさず、山口那津男代表が30日に対策の必要性を呼び掛け、政府は空と海の両面から監視・取り締まり活動を強化している◆党内に新設された密漁問題プロジェクトチーム(PT)はあす会合を開くが、離島住民の暮らしの安心を取り戻すために無法行為への対応が急がれる。それが赤サンゴの保護と生態系維持にもつながる。(辰)