eコラム「北斗七星」

  • 2014.11.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年11月7日(金)付



きょう7日は二十四節気の立冬。暦の上では冬に入った。紅葉の見頃を迎え、まだまだ「秋深し」の気分だが、すでに木枯らしが吹き始めた。気配はじんわりと冬めいている◆先日、鳥取市を訪れた際、時雨に遭った。急にぱらぱらと降ったかと思うと、さっと上がり、雲間からは日が差してきた。「遠山に夕日一すぢ時雨哉」(与謝蕪村)とひとりごちた。昔、冬の京都で通り雨に遭った時、「北山時雨です」と地元の人に教わったことを思い出す◆平安中期の勅撰和歌集『後撰集』に「神無月ふりみふらずみ定めなき時雨ぞ冬のはじめなりける」(よみ人しらず)の一首がある。時雨の本意を「初冬のころ、降っては止み、また降り出す、人の世と同じように定めのない雨」と簡潔に詠み取った名歌として知られる。以来、和歌や俳諧では冬の到来を告げる景物、情趣として親しまれてきた◆冬とはいえ、11月は「小春」と呼ばれる穏やかで暖かい日和が続き、「冬ざれ」というにはほど遠い感じがする。が、季節は足早に移りゆく。すぐに「あたゝかき十一月もすみにけり」(中村草田男)だ◆身も心も縮こまる厳しい冬はそこまで来ている。「初時雨これより心定まりぬ」(高浜虚子)。冬は立った。気を引き締めよう。来春に向けて党勢拡大に充実の日々を送りたい。(中)

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