eコラム「北斗七星」
- 2014.11.12
- 情勢/社会
公明新聞:2014年11月12日(水)付
「大同小異」という言葉は、中国の古典「荘子」に出てくる。日本では、「小異を捨てて大同につく」と理解されているが、中国人は「小異ヲ存シテ、大同ヲ求ム」と考える。「四字熟語の知恵」(ひろさちや 日本経済新聞社)で知った◆日中両国の語義は、どう違うのか。この本の著者は、朝食のメニューを例に説明している。例えば、ホテルに宿泊した夫婦が二人とも和食を注文すると、みそ汁に焼き魚、のり、梅干しなど何から何まで同じで、「小異」は全くない。しかし、洋食は違う。パンはトーストやクロワッサン、卵焼きは目玉焼きかオムレツという具合に、口に運ぶ料理は異なる。これが、「小異ヲ存シテ」である◆安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が初の会談に臨んだ。冷え込んだ両国の現状を打開するため、戦略的互恵関係の原点に戻ることを確認できた意義は大きい。ただ、両国が本格的な関係改善に進むかどうかは、これからだ◆外交の目的は、利害や考えを一致させるだけではない。それぞれの立場が異なっても、アジア太平洋地域の平和と繁栄のために協力することは、両国や国際社会にとって極めて重要だ◆「大同」には、天下が栄えて和平になるという意味もある。時間はかかるだろうが、大同を実現するための知恵を双方で出し合ってほしい。(明)