e夜間中学 全県に設置へ
- 2014.11.12
- 情勢/社会
公明新聞:2014年11月12日(水)付
公明推進 文科省が支援拡充
文部科学省は、戦後の混乱や貧困、ひきこもりなどで義務教育を修了できなかった15歳以上の人たちが通う、公立夜間中学校を全都道府県に最低1校ずつ設けるための支援に乗り出す。公明党の強い主張を受け、2015年度予算概算要求に、前年度比で約15倍となる4400万円の関連費を計上した。
政府は、義務教育未修了者の人数を正確に把握していないが、小学校を卒業していない15歳以上の人は全国に約12万8000人いる(2010年の国勢調査)。夜間中学校の対象者は、これに中学を卒業していない人や日本へ移住してきた外国人、無戸籍者らが加わるため、数十万人規模になるとみられている。
現在、公立の夜間中学校を設置している8都道府県一方、公立の夜間中学は千葉、東京、神奈川、京都、奈良、大阪、兵庫、広島の8都府県【イラスト参照】に計31校があるのみで、生徒数は計1879人にとどまる。それ以外の公立夜間中学"空白地域"では、ボランティアが運営する「自主夜間中学」が、自治体に代わり義務教育未修了者の学びを支えている。
公立夜間中学の設置が進まない主な原因は、5、6人の少人数学級や日本語がうまく話せない外国人らに対応するため、教員に特別な研修が必要だからだ。そこで文科省は、来年度から専門家を夜間中学に派遣して学習指導をサポートする。また、公立校未設置の道県が、地域にどの程度ニーズがあるかを調査し、新設の検討を進めるための支援を行う。実態が分からない義務教育未修了者の人数については、国勢調査で正確に把握する予定だ。
文科省が支援拡充を決めたのは、公明党の富田茂之衆院議員らの強い主張によって、政府の教育再生実行会議が7月に行った提言で「夜間中学の設置を促進する」と明記されたことがきっかけとなった。
さらに公明党は、夜間中学の教員らでつくる「全国夜間中学校研究会」などの要請を踏まえ、一貫して夜間中学への支援強化を主張。15年度予算概算要求の重点要望で夜間中学の全都道府県設置を求めたり、浮島智子衆院議員が代表呼び掛け人となって全会派の国会議員に夜間中学のシンポジウムに参加するよう呼び掛けるなどしてきた。
そして10月、衆院文科委員会での浮島さんの質問に対して、下村博文文科相は「少なくとも各都道府県に一つは設置されるよう促進したい」と答弁、政府の方針が明確に示された。
学習権の保障へ一歩前進
全国夜間中学校研究会 須田登美雄 副会長
公立夜間中学に対して国が支援を表明したことは、全国にいる義務教育未修了者の学習権の保障へ一歩前進したと言えるだろう。
教育再生実行会議の提言に夜間中学の設置を促進する重要性が明記されたことは、私たちの教育実践が正しく評価されたのだと思い、感動で胸が震えた。また、浮島議員の質問に文科相が全県設置をめざすと答え、これが、支援拡充に向けた決定打になったと思う。公明党には今後もぜひ、夜間中学を応援してほしい。