e人口減少への備え 少子化対策の大幅拡充めざせ
- 2014.11.19
- 情勢/解説
公明新聞:2014年11月19日(水)付
50年後の経済・社会を議論してきた政府の経済財政諮問会議の有識者会議「選択する未来」委員会が、中長期的な人口減少対策の最終報告書をまとめた。近く諮問会議に提出され、政府の政策に反映される見通しだ。
報告書は、現状のままで少子高齢化が進行した場合、50年後の人口は3分の2の規模にまで減少し、65歳以上が4割を占めると警鐘を鳴らしている。安定した人口構造の維持に向け、2020年代初めまでに年少人口(0~14歳まで)の減少に歯止めを掛けた上で、「50年後も実質GDP(国内総生産)1.5~2%程度の成長を維持する」との目標を明記した。
人口の急速な減少を放置していては、社会保障制度や地域社会の維持は難しさを増す。労働力人口も減り、経済全体の活力も損なわれてしまう。強い危機感を持って、あらゆる手だてを迅速に講じていくべきである。
報告書は具体策の一つとして、少子化対策の大幅な拡充を提案している。まさに公明党が強く求めてきた方針だ。
あくまで個人の判断を尊重することが前提だが、若者らが安心して結婚ができ、子どもを産み育てられる環境をつくらなければならない。
例えば、不妊・不育症治療への助成拡充や産後ケアの体制づくりなど、妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない支援を強化していく必要がある。男性の家事・育児参加を促すため、企業への助成・税制優遇措置も充実させていきたい。
一方、報告書は、30~40代の女性の就業率を5%程度(約95万人増)、65歳以上の高齢者の就業率を3%程度(約96万人増)引き上げることを当面の目標に据えている。
働き手が減る中にあって経済成長を支えていくには、女性、高齢者らの幅広い人材の活躍が不可欠だ。公明党が重視する「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の実現が鍵を握る。
仕事と育児・介護の両立ができるよう、長時間労働を是正し、短時間正社員制度など多様な働き方ができる改革が求められている。ICT(情報通信技術)を活用した在宅テレワークの普及によって仕事の効率化も進めたい。