e農林水産業の振興 潜在力引き出し「攻め」に転じよ
- 2014.11.27
- 情勢/解説
公明新聞:2014年11月27日(木)付
農林水産業は有望な成長分野である一方で、担い手の高齢化や耕作放棄地の増加など課題が少なくない。いかに農林水産業を振興すべきか、衆院選では各党にその処方箋を示すことが求められている。
公明党は農林水産業関係者の悩みを真剣に受け止め、問題解決に動き続けている。
民主党政権時代に「農業農村整備事業」の関連予算が大幅削減され、農地整備や水路の維持・管理もままならなくなったことは記憶に新しい。地方の窮状を重視した公明党の訴えで、2年前の自公連立政権の発足後、素早く予算が復活したのは、その一例だ。
公明党の具体的な提案により、農作物の価格下落時に、収入の減少分を補う「収入保険制度」についての調査・検討も今年度から始まった。農家の経営課題の一つが収入の不安定さである。収入保険制度が導入されれば、農家の経営基盤の安定さが増す。日本の農業を守るセーフティーネット(安全網)を、さらに実現していかなければならない。
農林水産物の輸出額は昨年は過去最高の5505億円に達した。今年1~9月までの輸出額も4330億円に上り、前年同期よりも約1割増のペースで順調に伸びている。
自公連立政権の輸出促進策の大きな成果だ。日本食の魅力をもっと発信して、さらなる輸出の拡大をめざす「攻めの農林水産業」への取り組みも強化していきたい。
東京電力福島第1原発事故の風評被害から、いまだに日本の農林水産物・食品に対して過剰な規制を設けている国・地域があり、輸出の障壁になっている。科学的な根拠を示しながら、こうした規制の撤廃・緩和に向けた交渉も進めていかなければならない。
一方、農林水産物の生産から、加工、販売までを一体的に手掛ける「6次産業化」の推進も、地域の活性化に不可欠となる。
農家による特産品の開発や漁協が経営する食堂などが人気を呼び、成功を収めているケースも珍しくない。農林水産業者の所得向上に結びつくだけでなく、高齢者や女性の雇用の場も生まれている。
農山漁村の潜在力を引き出すため、官民一体となった取り組みに全力を挙げたい。