e税の増収見通し 経済対策の財源強化に充てよ
- 2014.12.02
- 情勢/解説
公明新聞:2014年12月2日(火)付
今年度の国の税収が、当初見込みより1兆円以上も増え、51兆円台半ばに達する見通しだ。
税収の増加は、日本経済が順調に推移しなければ実現しない。前民主党政権が「高速道路の無料化」「子ども手当の満額支給」など実現の可能性が全くない政策に固執し続けた結果、何度かあった経済成長の機会を逃し、税収を40兆円台にまで下げた失政とは対照的だ。自公連立政権が打ち出した経済政策の効果を裏付ける事実である。
税収が51兆円台半ばになるのは1997年度の53.9兆円以来、17年ぶりだ。税収増は、所得税や法人税が堅調だったからである。
景気の回復基調に疑いの余地はないが、過度な円安による輸入物価の高騰に加え、4月の消費増税前の駆け込み消費で、経済は一時的な息切れ状態に陥っている。
現在の最優先課題は、これ以上の経済失速を防ぐことだ。補正予算案の早期編成と着実な実行が何より必要だが、財政再建の途上でもあり、国債発行といった国民負担を先送りする安易な対応は避ける必要がある。また、各党が強調する通り、経済の低迷を打破できなければ今後の社会保障制度の充実も進められない。剰余金は補正予算の財源として、十分に有効活用すべきではないか。
公明党が「経済の好循環」実現に向けて政府に提言した緊急経済対策は、景気回復の恩恵が及んでいない家計や地方の活性化に光を当てている。例えば、中低所得世帯向けの「プレミアム商品券」の発行は、家計のやりくりを支援し、商店街の売り上げ増につながる。環境性に優れた住宅の新築などにポイントを与え、商品と交換できるようにする「住宅エコポイント」制度は、経済波及効果が大きい住宅投資を押し上げるだろう。
公的金融機関が経営資金を低金利融資する「セーフティネット貸付」の利率引き下げ強化は、日本経済の屋台骨である中小企業の経営を下支えする。地域の活性化を担う「地域おこし協力隊」の推進は、地方創生の軸として大いに期待されている。
経済対策を可能な限り手厚い内容にし、再び力強い経済成長を実現させるべきだ。