e政党のカタチ 理念、価値観を共有しているか
- 2014.12.05
- 情勢/解説
公明新聞:2014年12月5日(金)付
政党とは何か―。衆院選の公示から4日、メディアを通して伝えられる各党の動きを見ていると、こんな素朴な疑問が頭をかすめる。"隠れた争点"として、「政党のカタチ」も問う必要があるのではないか。
今回の選挙戦の構図は、にわかづくりの政党が乱立した2012年の前回衆院選から様変わりしたと見なされている。主要政党が9つに絞られ、立候補者も大幅に減ったからだ。だが、つぶさに観察してみると、内実はそう変わっていないことに気付く。
早い話、前回衆院選で飛躍したみんなの党は公示日に正式解党した。所属国会議員は他党に移ったり新党結成を模索したりという体たらくだ。
生活の党では、小沢代表が衆院解散直後、党所属議員に「生き残れる道を選べ」と他党への鞍替えを容認したと伝えられる(11月21日付「読売」)。それがこの党の"文化"なのかも知れないが、政党たるもの、それほど軽くていいものか。「政党の危機」を感じないわけにはいかない。
ちなみに、同党から民主党に移って衆院選に立候補した2人は、12年の民主党造反組。そんな2人を「離党すれば、どの党ということはない」と歓迎する民主党の海江田代表の発言も理解できない。
小選挙区での民主党や維新の党の候補者調整の在り方も「政党とは何か」を考えさせられる。「非自公候補の一本化」という選挙戦術を優先するあまり、「政策のすり合わせ」がまるでないのは野合以外の何ものでもあるまい。
思えば公明党は10月22日、「結党50年ビジョン」と題して、公明新聞紙上で「政党論」を発表したところだ。
無党派層の増大など「揺らぐ政党政治」への危機意識からまとめたこのビジョンでは、「政党は政党本来の在り方に立ち戻るべき」との視点を提示した。すなわち、「理念や価値観を共有しないまま、ただ選挙に勝つためだけの政党には党としてのガバナンスはなく」「政党は組織を強化し、一人一人の有権者をつなぐ」存在たれ、との主張である。
半世紀の歴史を持つ公明党にとって、衆院選は「政党政治の復権」をかけた戦いでもあることを自覚したい。